20.たりない





「名前ちゃーんっ!!おっはよー!」

「おはよう快斗、青子」

「おはよう名前!相変わらず快斗はうるさいねー」

「元気でいいじゃん♪ね、快斗」


うわ何その笑顔……!
天使か?天使だよな?
まじ可愛すぎ!


「ほんと天使だよなぁ名前ちゃん!あー可愛い!!」


名前のカバンをテーブルに置いて、後ろから抱き着いた。

こんな可愛い子が俺の彼女なんて、未だに夢かと思ってしまう。


「ほんと快斗は名前の事大好きだねー!」

「いやもう寧ろ愛してるって感じ」

「恥ずかしいよ快斗……」

「そんなところも可愛い!可愛すぎる!」

「鼻の下伸ばして……完全にバ快斗だね」


まぁ青子になんと言われ様が構わない。
俺はもう、片時も離れたくないくらい名前が好きだ。
愛情表現は8:2ぐらいの割合(勿論俺が8)だが、名前の表現は普段の行動でわかるからそれで充分。

隣の席の名前が急に俺のぶら下がっていた手をキュッと一瞬握って微笑んだ時なんか鼻血の出過ぎで保健室行ったくらいにして。

とにかく、名前には敵わない。

今日も名前に引っ付き回って1日を終えて、一緒に帰っていた帰り道。
何故か俯いて、気まずそうに俺をチラチラ見る。


「どうした?」

「快斗とさ……したい事があって……」

「えっ……?」


名前がしたい事は今まで全部やってあげたつもりだ。
名前の為なら例え火の中水の中。
あわよくばスカートの中……あれ?
いや待てよ?
スカートの中は今までに無いな。
まだ手を出してはいけないと思ってたから……したい事ってまさか……?!

ドキドキしながら生唾を飲み、冷静を装い聞いた。


「し、したい事って……」

「したい事って言うか……したりないって言うか……っ」

「!!」


確かに、途中まではした。
でも最後まではした事がない。
そりゃあ俺だってしたり無い。


「だから……今日、快斗の家に泊まりたいな……」


きたぁああっ!!
やばい俺倒れそう!
いやだめだ今倒れたら勿体ない!
そりゃもう勿論おっけー!


「い、いいけど」


バクバクうるさい心臓を必死に抑え、心の準備。体の準備はいつだって万端だから、あとは俺がどうかっこよくリードするかだ。

あーしてこーしてと色々考えて、ついに俺の家に着いた。


ーーーー


よし、あとはいよいよ寝るだけだ。
どう寝室に誘おうか考えている時、お風呂上がりのほわほわした名前が俺の目の前に座り、微笑んだ。


「快斗……しよ?」

「っ!!今日は積極的だな。容赦しねぇよ?」


積極的な名前も好きだ。
もう心も体も準備万端です!
さぁ行きましょう名前ちゃん!!


「私も容赦しないんだから!今日こそは、絶対夜中までかかっても勝つ!!」

「…………え?」

「だって快斗とゲームしたらいつも負けちゃうんだもーん!なんとしてでも一勝したくて泊まり込みでゲームするんだから!!」

「………だから積極的だったわけね」

「そうだよ??」


俺を上げて上げてドン底に突き落とすんだな………


「……俺は名前ちゃんが足りないんですけど?」

「え、わぁっ!?」


名前をお姫様抱っこして、行く先は1つ。


「わ、私はゲームがし足りない〜!」

「もー俺スイッチ入っちゃった♪」


まだまだ、君がたりない。


ーENDー


「名前は俺がもっと欲しくならねーの?」

「な、ならない……っ」

「でも体は正直だよな。こんなに濡「うわぁあんやめてよー!!」


ここまでくると俺の小さな加虐心に火が付いて、少々いじめたくなるのはどうしたらいいだろうか。




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