14.指切り




「……ってわけだ。俺がコナンになったことは、博士と灰原とおめーしか知らねーから、誰にも言うんじゃねーぞ?」

「新一……」

「コナンって呼べ」


博士に呼ばれ来てみると、あの長身だった新一は私がしゃがまなければいけないほど小さくなっていた。

上を羽織り、眼鏡をかけながらそう言った新一。

屈辱だろうに。
きっと、早く元の姿に戻りたいはず。


「コナン君」

「ん?」

「早く元の姿に戻りたいよね」

「ん、まぁな」

「絶対私が元の姿に戻してみせる。約束する!だから指切り!しよ?」

「はぁ?どうやってだよ。つーかいいよ指切りなんて」


私がだした小指をじっと見て苦い顔をした。でもだめ。指切りしなくちゃ私の気が済まない。私の、大好きな人だから。



「いでっ。指折れるっつーの」

「指切りげんまん絶対コナン君を元の体に戻すそう決めたじゃないと針千本のーむ。指切った♪」

「なげぇよ」


無理やり彼の小さな小指に私の小指を絡ませ、上下に振って指切りをした。
一旦は満足し、しゃがんでいた体を起こす。するとコナン君は私をじっと見るなり、ん。と言って小指を出してきた。

あれ、今指切りしたんだけどな。


「今指切りしたじゃん」

「……いーから」

「何さ嫌がってたくせに」

「いーから小指だせ」


少しむつけて目を逸らすコナン君。
彼はどんな約束を私にしようというのだ。


「ん」


何を考えているのかよくわからないコナン君の小指にまた小指を絡めた。


「…………」

「…………」


ん?何も言わない。
ただ絡んだ小指を上下に振って終わった。


「え、なんの約束かわかんないんだけど言ってくんないと」

「別に言葉に出さなきゃいけねーわけじゃねーだろ?」


コナン君はニヤリと笑って私を見やる。


「何それぇ!!え、教えてよ!」

「やだねー」

「気になるじゃんかぁああっ!!」







「……新一はなんの指切りをしたのかのう……」

「そんなの、決まってるじゃない」

「哀くんはわかるのかね?」

「私がここにきてまだ少ししか経ってないけど……なんとなくわかるわ。迷惑をかけたくない人には本当の事を言わないけど、最も大切な人には、本当の事を言って自分が守ろうとするものよ」

「そうかのぅ」

「工藤君は、後者なんじゃない?」

「じゃあ約束というのは……」

「名前を守り抜く。か、告白のどちらか。もしくは………」







「くっそー気になる!いい加減教えろ新一!!」

「しゃあねぇな……」

「え、なになにっ?」

「工藤新一に戻ったら名前にがっつり勉強させる。指切った。だよ」

「えっ?!いらないそんな指切り!!」


さっそく自分からした約束を踏みにじりそうになった。だって嫌だもん勉強!

ーENDー


(俺がコナンの間はぜってー名前を守り抜く。そして元の姿に戻ったら……告白してやる。指切った。)




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