03





「………いや?」

「ほんとー?何今の間。私さ、赤井さんといたら寝ちゃうじゃん?だから最近暇に感じちゃってるのかなーって」

「そんなことはないけどな」

「そっかぁ。なんか赤井さんといると安心して眠くなっちゃうんだよね」

「落ち着くか?」

「落ち着く。赤井さんは落ち着かない?」

「寝込みを襲いたくなるな」

「いやそれ違う意味の落ち着かないだよね?!」


ツッコむと冷静にははっと笑われた。
私は真剣に聞いているのに。

なんて少し睨みつけると、嘘だよと言わんばかりに困った微笑みを向けられる。


「眠くはならない」

「赤井さんといるとさ、落ち着くんだよ。好きな人だけど、一緒にいると心地いいと言うか……」

「俺も心地いいのは一緒だ。ただ、寝られるとやる事なくないか?」

「…やっぱり暇なんじゃん」

「暇というか……暇ではないんだが……」


そう言いながらコーヒーを口にした。
暇じゃないけどやることないってなんなんだ。

何か言いにくそうにしている赤井さんの雰囲気に、返事を待ちながら頭を捻らせる。

……え。もしかして。
でも赤井さんが……?
いや……ないか……。
でもこれしか考えられな「ブツブツ言ってないでハッキリ言え」

「あれ、聞こえてた?」


赤井さんを見ると、じろりと睨まれた。
そうか声に出ていたのなら仕方ない。


「……もしかして構って貰えないから拗ねてた?」

「ごほっ」


コーヒーを盛大に吹き出し…そうになっていた。危ない危ない。
吹いたらキャラ崩壊するからやめてほしい。

なんて酷いことを考えながら背中とトントンすると、またもや怪訝な顔をされた。

私の考えは違ったかな?


「なんでそうなる」

「だってそれしか思い浮かばないもん」

「……まぁ、な。」

「でしょ?……えっ?!」


えっ?!
まじなやつ?!
まじて拗ねてた感じ?!赤井さんが?!


「拗ねてはいないが……つまらない」

「だから不機嫌だったんでしょ?」

「だな」

「私が寝ちゃって話せないからでしょ?」

「おう」

「それ拗ねてるんだよ」

「………」


この人は今始めて拗ねるという言葉を認識したのか?

なんだ、結局私が寝ちゃって構って貰えないから拗ねてたのか。


「だから帰っちゃってたの?」

「仕事で疲れが溜まってるんだろうと思ったしな」

「あははっ。そうだけどそんなにずっと寝てるわけじゃないし、泊まりに来てよ!もう寝ないからさ」


なんだ、そんなに悩むことなかったんだ。ただたんに拗ねていたのか。
可愛いなぁ、赤井さん。


「わかった」


その後早速今日泊まる事になったのだが、なんせ隣で仕事をしている。
暇なのは私の方じゃないか。


「あーかーいーさーん」

「ん?」

「秀一ー」

「なんだ」

「秀ちゃーん」

「うるさい」


あーきっと私が寝てる時も、赤井さんはこんなに暇だったんだなぁ。

申し訳なくなって、ちょっかいかけるのをやめ、隣で大人しくする事にした。

赤井さんの温もりが体から伝わり、眠くなってくる。
それでも寝ないと決めた私は必死に目を開けた。


「……なんだ眠いのか?」

「んー」

「寝ていいぞ。俺も仕事してるしな」

「寝ないって決めたもん」


眠い目を擦ると、大きなため息と共に腰に手が回ってきた。
どうしたんだろうと上を見上げると、引き寄せられおでこに軽いキスをくらった。


「お?」

「寝ろ」


そのまま赤井さんの胸元に頭を押し付けられ、頭を撫でられる。

寝ちゃうよ、ほんとに。


「眠くなってきた」

「おう」


そのまま彼の落ち着く心音を聞きながら、瞼を閉じる。

やっぱり、優しいな。


ーENDー


「同棲、するか」

「えっ?!いいの?!じゃあ早速家を調べよう!!ちょっとパソコンで調べてよ!!」

「お、おいおい、眠かったんじゃないのか?」

「目覚めた!!SU〇MO開いて!ほら!」

「ははっ。ったく、調子いいなお前は」




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