01
「今日は帰る」
「あれ、もう帰るの?」
「ああ」
「最近泊まっていかないね?」
「まぁな。邪魔したな」
赤井さんと付き合ってもう何年だろうか。
よく私の家に来たり、私が行ったり、泊まったりしていて、最近同棲したいなーなんて思い始めてきた。
でもそれと同時に、赤井さんが泊まっていかなくなった。
私が泊まりに行くと言えば普通に泊まらせてくれるが、何故か私の家に来た時は帰ってしまう。
「なかなか同棲したいって言えないなー」
なんて玄関で1人ポツンと呟いても虚しいだけなので、中へ戻ることに。
現在の時刻は21時。
夜ご飯も食べたし、特にすることもなくコーヒーをいれてテレビを見る。
最近はこれが日課。
明日も仕事があるから早く寝ればいいものの、赤井さんといると何故か眠くなって寝てしまう為、夜は眠くならない。
「なんで赤井さんといると眠くなるんだろー」
最後の一口を飲み干し、シャワーを浴びて無理やり寝ることにした。
ーーーー
「休憩入りますね」
「はーい。あれ、なんか元気ないね」
仕事中は隠しているつもりだったが、勘の強い先輩にはすぐバレてしまった。
「最近ちょっと悩みがありまして……」
「じゃあ私も一緒に休憩入るから、悩み聞くよ?」
「いいんですか?」
「いいよいいよー!」
なんて優しい先輩だ。
頼りになる先輩だし、何か打開策をだしてくれるかもしれない。
2人で休憩室に向かい座って一息つくと、早速どうしたのか聞いてくれた。
「私赤井さんと付き合って長いんですが……最初の頃はよく互いの家に泊まってたんですけど、最近私の家に来てもすぐ帰っちゃうんです」
「あー彼氏さん?忙しいんじゃないの?」
「まぁ仕事柄忙しいとは思うんですが……次の日休みとかでも帰っちゃうんですよ?」
「1回しか見たことないけど、とても浮気する様な人には見えないしねー……」
「赤井さんは浮気なんてしませんよー。私が行った時は泊めてくれるんです」
「じゃあ名前ちゃんの家での行動に原因があるんじゃないの?」
「え」
……私かぁ。
特に何かした覚えもないんだけどなぁ。
「何か思い当たる事ないの?」
「思い当たる事ですかー?んー……」
「無いみたいね」
まぁ何かしたわけじゃないけど……
赤井さんがいる時に眠くなるくらいかなー。
「寝てるくらいですかねー」
「え、彼氏さん来てるのに寝ちゃうの?」
「え、やばいですか?」
「やばくはないけど……彼氏さんその間何してんの?」
「寝てるからわかんないです……」
だよね。と笑われた。
もしかして……暇なのかな、赤井さん。
「もしかして暇だから帰っちゃうんですかね?」
「かもねー。だって彼女ん家来たのにずっと寝てたらつまんなくない?」
うわめっちゃ正論。
「ですよねー……ははっ」
prev|
next