07
後日、名前ちゃんの悪口を言っていた主犯格の子を突き止め、屋上に呼んだ。
名前ちゃんと付き合ってることを知らないこいつは、顔を赤く染めながら屋上へやって来た。
「よっ!わりーな、屋上に呼んじまって」
「んーん!い、いいの…!どうしたの……?」
「俺さ、心が綺麗で、素直な子が好きなんだ。おめーは自分の心、綺麗だと思うか?」
「えっ………」
答えれねーだろうな。
はい。と言えば、嘘をついたことになる。いつも名前ちゃんに話しかけている俺だから、名前ちゃんに聞いて本当のことを言われれば終わりだし。
いいえ。と言えば、俺に振られることになる。まぁ、告白なんてしねーけど。
直感で答えて欲しいから、どうなんだ?と少し焦らせる。
「……わからない」
「……そっか」
なんだ、少しはいいとこあるんじゃん。
わからないと答えるということは、嘘はつけない、でも好きな人に嫌われたくない。そう思っているから。
その思い自体は、悪い事じゃない。
「俺、全部知ってるんだ。名前ちゃんと付き合ってるから」
「えっ………」
「あの質問に、はいって答えてたら完全におめーに失望してたけど、わからないって答えたって事は、少しは罪悪感あるんじゃねーの?俺に嫌われる行動だって自覚してたんじゃねーの?」
「………」
「わかってるだけ、偉いよ。これからも俺のファンでいてくれるなら、名前ちゃんと俺の幸せを願って欲しいかな」
「……わかった」
まぁ、本当は俺も結構怒ってるからファンから抜けようが抜けまいがどっちでもいーが、女の子を怒鳴り散らすのは趣味じゃない。
……それでも、
「いい奴、見つけろよ」
名前ちゃんにしか興味がないことは、ハッキリ言っておく。
その子の頭にポン、と手を置いて、屋上を出た。
そして携帯を取り出し、大好きな天使ちゃんに電話する。
ーENDー
「もしもし名前ちゃん?今どこ?」
『ずっと玄関にいるよー!トイレ長すぎ!!』
「ごめんごめん、大の方してた!てへ」
『汚いー!てへじゃないし!!早く帰ろうよー!』
「今行きますよお姫様」
『大してたって言った後にその言葉言われてもなんも響かないんだけど』
「なぁ名前ちゃん、大好き」
『はっ?!わわわ私もだけど何急に!!』
「べぇーっつにー♪」
『なんなのよーっ!!』
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