03





「終了!!次のチームに交代!」

「お疲れ!さすが黒羽!やっぱお前チームにいると最高だわ」

「だろー?にしし」


ぶっ続けで出た俺は一旦休憩。
ステージに座り、目線を即名前ちゃんに移すと、ちょうどバスケをしていた。

うわ、めっちゃうめーな。

綺麗なシュートだなー。


「俺の心にもシュートしてくんねーかなー。いや逆か?俺が君の心にシュートってか?」

「なんだお前きもちわりーな」


隣に座ってきた友達は俺の目線に合わせると、名前?と聞いてきた。
そうだこいつ名前ちゃんと幼馴染みだったんだ。


「なんでお前が………」

「んだよ名前が気になんのか?」

「気になるっつーかもう好きすぎて死にそう」

「えっ?!なんで言わねーんだよ!」

「言ったところでだろ」


まぁ青子にはめっちゃ言ってるけど。
ところで、こいつは敵なのだろうか。
味方なのだろうか。


「お前名前ちゃん好き?」

「いや?勘違いされるけどな」


多分、ほんとに好きじゃねーんだろーな。こいつは。
俺も幼馴染みがいるからわかる。

幼馴染み=好き合ってると勘違いされることが多いからこそ、わかる。


「協力するぜ?黒羽!」

「あ〜?んな女子じゃねーんだからよ」

「協力に女子も男子も関係ねーだろ」

「まぁ確かにそうだけど」


2人で名前ちゃんを見ていると向こうも気づいた様で、一瞬笑顔になった。
かと思えばすぐ不機嫌な顔になる。
多分見ているのが幼馴染みだと気づいたんだろーが、その後隣に俺がいることに気づいて不機嫌になったのだろう。

にしてもあの一瞬の笑顔。
俺を壊滅させるほどの笑顔だ。

それに比べ隣のこいつはなんともないような顔で名前ちゃんに笑顔を向ける。

くっそーずりぃ!!
なんでこいつなんだよぉおお!


「なんでおめーなんだこのやろー!」


奴の両肩を掴みガタガタ揺らすと、びっくりした様に両手を小さくあげた。


「ぅおっ?!くくく黒羽?!落ち着けって!!」


そんなことをしているうちに名前ちゃんは試合を再開した様で、もうこっちは見ていない。

怪我とかしねーといいけど。

なんて思いさえも拒否されているかのように、名前ちゃんは巨体の女の子に吹っ飛ばされた。


「「あっ!!」」


友達と目を合わせ、2人して不可抗力で前のめりになり助けに行く体制をとったが、何しろ名前ちゃんに女子が集まり様子が伺えない。

大丈夫だろうか。

すると女子達はいっせいに立ち上がり、ちらっと名前ちゃんの様子が見えた。顔を歪めながらも、笑顔で大丈夫と言っているのは口の動きを見て取れる。

あれは絶対大丈夫じゃない。
でも女子達は大丈夫だと思ったのか、パラパラと離れて行く。


「なぁ、あれぜってー大丈夫じゃねえよな?」

「黒羽、行ってやれよ」


友達が笑顔で俺の背中を叩いた。
結局は協力してもらってんな。


「……おう!」


置かれた手でそのまま背中を押され、名前ちゃんの元へ向かった。




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