02





「次俺のチーム入れよ黒羽!」

「そっちもう強い奴いんだろ?!黒羽はこっちのチームだ!!」


次の授業は外でサッカー。
両脇のむさい男から腕を引かれ真ん中でゆらゆら揺れる俺。
男の取り合いではなく、名前ちゃんに取られたい。

そんな事を考えていると、体育教師が教室に入って来た。

あれ?外集合だよな?
っていうのはみんなも思っていたようで、みんないっせいに教師に注目。


因みに女子は家庭科らしく、ここには男しかいない。


「雨が降ってきたから、外でサッカーは中止。体育館の半分を借りてフットサルをやる事になったから、体育館集合!」


それだけを言って教室を出て行った。
外を見ると確かに雨。

体育館の半分だけ借りるということは、他のクラスがもう半分を使っているということか。

フットサル片面だけとか辛くね?


とりあえず体育館に向かい、更衣室に入る。相変わらず両脇の男どもは俺を取り合っていて、かなりうざい。

ジャージに着替えて倉庫内に入り、ボールを手に持ち戻ってきた。

が。

目の前のオーラに、持っていたボールを落とした。


この天使のオーラ………
あれは、名前ちゃん!!

目の前には、俺の大好きな天使ちゃん。


体育館のもう半分は天使ちゃんのクラスの女子がバスケをしていた。

こんな幸せな体育、今までにあっただろーか。


「幸せ……だけどネット邪魔くせーなくそっ。」


真ん中の仕切りのネットが邪魔で、穴を開けたいほど。
いや、俺の熱い視線で穴を開けられるかもしれない。


「はい、男子集合ー。……あれ、黒羽はどこ行った?」

「先生ー。黒羽が網にかかってまーす」


そんな会話が後ろから聞こえ、我に返った。気づけばネットに張り付いて見ていた俺。

一見気持ち悪く見えるが、色目を使う女の子達はキャーキャー言いながら俺に手を振る。
人気者だな、俺。

手を振り返せば更に大きくなる黄色い声。正直、モテる方だと思う。

でもそううまくいかないのが俺の恋。
名前ちゃんはボールを持ちながら睨んでくる。

だいたい想像がつく。
俺のことが嫌いな名前ちゃんはきっと……


「っと……!」


予想通り、俺の顔面に向かってボールが飛んできた。まぁ想像がついていたからよけれたけど。

そんな事お構い無しに名前ちゃんに手を振れば、フン、と顔を逸らされた。
その横顔も可愛いな、なんて思っていると、先生に後ろ襟を掴まれそのまま男達の元へ連れて行かれた。


「先生ー!今日は俺を思う存分使ってくれ!!」

「なんだ今日はやる気だな!隣が女子だからか」


まぁ隣に女子がいるからというより、隣に名前ちゃんがいるからなんだけど。

っしゃあ!!
良いところ見せるぜ!!




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