01





「安室さん、もういいよ」

「だめです」

「恥ずかしいって」

「だめです」


あぁ。なんて過保護なんだろう。
こうしていつも学校に送ってくれて、迎えに来てくれて。
嬉しいんだけどさ、片時も離してくれない安室さんは、凄く過保護。


「送ってくれてありがとう。でもさ……家から学校までものっっっすごい近いからいいよ私足生えてるし」


と助手席のドアを開けてくれた安室さんに、両足を上げてバラバラと動かして見せた。


「校内でその足が傷つかないように、充分気をつけてくださいね。廊下は走っちゃだめですよ?あと体育の時間、ジャージはなるべくハーフパンツにはならないように。スカートも短すぎるのは許しません。中にちゃんとスパッツ履いてますか?」

「スパッツって……履いてるよちゃんと」


はぁ。付き合ってからというもの、束縛というか嫉妬というか、それが激しくなった。もう過保護の域を越してる気がする。


「もうさー、なんでそんなに過保護なの?」


いつものやり取り。
この言葉に対して彼は絶対にこう言う。

「保護者ですから」


ほら、やっぱりね。

お昼ご飯作って来ましたよ、とお弁当を渡され、お礼を言うと安室さんは満足そうに車に乗って帰って行く。

それを見送って最後に1つため息をつき、校内に入って行った。




「おはよう名前!今日も送って貰ってたね、安室さんに」

「おはよう蘭。あんなに距離近いのに恥ずかしいよほんと」

「それくらい名前が好きってことよー。」


苦笑いする蘭。
きっと気を使ってそう言ってくれてるけど、ほんとは過保護だなぁって思ってるだろうな。

ほんとに過保護だから言ってくれていいんだけどね、言わないところが蘭の優しいところ。


「安室さん、今からポアロ出勤なのかな?」

「そうみたいだよ。私は時間余裕なのに私に合わせてくれるから安室さんはいつもギリギリみたい」

「名前思いだねー」

「ははっ。疲れるよ……」


好きなんだけどね。
過保護なだけで好きなんだけどね。
でも好きだけで全てを受け入れろって言われると難しいかな……


「あ、そういえば帰り安室さん迎えに来てくれるけど、蘭も一緒にポアロ行かない?」

「行く行くー!園子と世良さんもいーい?」

「いいよいいよー!世良ちゃーん!園子ー!今日ポアロ行くー?」

「あ、おはよう名前!行く行くー!」

「おはよう名前。僕はやめておくよ。なんだかあいつは好きじゃないんだ」

「せっ、世良さん……っ」


蘭が気を使って世良ちゃんを止めてくれたけど、人の好き嫌いは勿論あるから別になんとも思わない。

私の彼氏に何をーっ?!なんて1ミリたいとも思わないから、めげずに誘ってみる。


「えーいいじゃん世良ちゃーん。行こうよ行こうよー!」


肘でぐいぐいと世良ちゃんと押すと、今日は用事があるんだ。と頭を撫でられた。うーんイケメンだ。

まぁ、用事があるならしょうがないね。
ない可能性の方高いけど。




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