04
「身長、少しは伸びたみたいやな」
「うるせー!」
平次はだいぶ伸びたなぁ。
隣に立つと少し見上げるほど。
声も低くなったし、なんか……
かっこよくなった?
そう思った瞬間、心臓が握り潰される様にぎゅううっと痛む。
なんだろうこれ……
胸のあたりをぎゅっと掴み、堪える。
「……どないした?痛むんか?」
「あ、うん……なんかおっぱい痛い」
「もうちょい言葉をオブラートに包まんかい。まぁ見る限り……成長痛、あでっ!!」
「成長期越してこれじゃい悪かったなこんにゃろー!!」
むかつくから殴ってやった。
因みに見るんじゃねぇ!
「名前ー!蘭ちゃんいい店紹介してくれたでー?!ご飯やご飯ー!」
「やったー!」
「おっ!飯かぁ!腹へったで早う行こうや!」
「僕もお腹空いた〜!」
やっと我に返ったのだろうか。
さっきの哀愁漂っていたオーラは消えて、なんとも子供らしいお背中に。
まぁ、子供なんですけどね。
「コナン君、変態平次君は置いて行こうね♪」
「えっ?わぁっ!」
平次を置き去りにして後ろからコナン君を抱き上げた。
「あっ!おい工藤下りれや!あの姉ちゃんに言いつけたるで!」
駆け寄ってきた平次をじろりと睨めば、蘭を指さしていた。
あの姉ちゃんとは蘭の事だろうか。
「別に言えばいいじゃない」
と呆れ顔のコナン君に平次はガキっぽくヤジを飛ばす。
「どっちが子供でどっちが大人なんだか」
ねー?とコナン君に首を傾げると苦笑いされた。君が確実に大人だね。
「和葉ー!蘭ー!さっき平次に酷いこと言われたさ!」
「アホ!言うなボケ!」
「アホでもボケでもないから言う!」
「まーた名前に何言うたん平次」
「なになにどうしたのー?」
「あんねー?」
「言わんくてええっちゅーねん!!」
「それより下ろして名前姉ちゃん……」
ーーーー
「お待たせ致しましたー。チョコレートパフェです」
おっ♪きたきたー!
「はい、私です!」
5人でレストランに着き久々の会話に花を咲かせ、食後のデザートにチョコパフェを頼んだ。
目の前にトン、と置かれたパフェはまぁきれいにキラキラと輝いている。
白いアイスにきれいに流れるチョコレートソースのコラボレーション……!
そこにささる色々なお菓子(名称がわからない)……!
「完璧!!」
「なーにが完璧やねん」
「名前はチョコパフェ好きやなぁ」
「大好き!」
「とか言って今まで全部食べれた事ないやん」
そうなんです。
多分後半に飽きちゃうんですよね、この甘さに。甘いのがそんなに好きじゃないのかね私は。すぐに終わってしまう欲を満たす為にいつも頼んでしまう。
「でも食べたいんだもん」
「まぁ俺が食うたるから」
昔からそうだったよね。
余すなら食うな!って言いつつ余すといつも食べてくれる。
そう思えば昔から優しかったよなぁ。
「あれ?でも服部君甘いの苦手なんじゃ「蘭ちゃん…っ」
「えっ?」
そうだったの……?
知らなかった……
平次を見ると、うんとは言わないものの、苦笑いしている。この反応を見る限り本当なんだろう。
「知らなかった……ごめん、平次」
「んなこと気にせんで食え。溶けんで」
「ありがとう。ふふ」
優しい平次に、男らしくなったなぁとニヤける口を隠すように、アイスを口に運んだ。
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