01
「ほなな、名前」
「泣かないで和葉」
「泣いてへんで……泣いてへんもん!」
涙を拭いながら、必死で否定する和葉。
それに連られ、私も涙が溢れる。
そしてその和葉の隣で平然とした顔をしている奴がいる。
「ほな、さいなら!名前!」
「お前は泣けこのやろー」
「別にそんな遠い距離でもあらへんやろ」
「何言うてんねん平次!大坂から東京行ってまうんやで?!」
「近いやん!いつでも会いに行ったるわ!」
「もっと大きなったら、会いに行ったるからな!名前!」
「待ってる!私も、会いに来るよ!和葉に!」
「俺の名前はどこいったんや」
「あ、もう行かなきゃ!じゃあね!和葉!平次!」
2人に大きく手を振り、前を向いた。
目の前には新幹線。
開いたドアに入り、心の中で“またね”と呟き、親の元へ向かった。
これを最後に私は東京の帝丹中学に入ると、部活やらなんやらで忙しく、それは和葉や平次も一緒で中々予定が合わず、会えないまま5年が経ってしまった。
今となっちゃ高校2年生だ。
懐かしいなぁ。
最近は連絡も取ってないし、二人とも何してるのかなぁ……
「ねー名前聞いてる?」
「え?あ、うん」
我に帰れば、蘭がムッとした顔をして私を見ている。
隣の園子は呆れ顔。
やばい、聞いてなかった。
確かさっき話してたのは………
「聞いてるって!蘭がおにぎり好きって話でしょ?」
「……全く違うんだけど」
「あんた何聞いてたのよ……」
うわ、見事な大ハズレだ……。
「あれ、ごめんなんの話だっけ……」
「だーかーらー、蘭にガキができたって話よ!!」
「えぇえええ?!」
「ちょっと園子!誤解する様な言い方しないでよ……!」
詳しく聞けば、突然いなくなった工藤君の親戚を蘭の家で預かる事になったとの事。
もう1週間くらい前の話らしい。
それまた興味をそそる話に乗った園子と私は、蘭の家に見に行くことになった。
園子は途中で用事ができてしまい今度行くことなったが、暇を持て余している私は用事が出来ることもなく、蘭の家にちょろちょろとついて行く。
「ただいまー!」
「おじゃましまーす」
「おかえり蘭ねぇちゃ…げっ!!」
「「げ?」」
「あ、えっと……初めましてお姉さん。僕は江戸川コナン。よろしくね」
「君が工藤君の親戚の子かぁ!私は名字名前!よろしくね、コナン君!」
お名前言えてえらいでちゅねーと頭を撫でると物凄く嫌な顔をされた。
そうか、もうそんな歳じゃないか。
男の子だしね。
「今コーヒーでも入れるからそこに座って待っててー?」
「あらどーぞお構いなくー!」
とかいいながら指定されたソファーに座ると、コナン君も何気なく横に座りテレビを見始めた。
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