01
「くーろーばー!!待ちなさい逃げるな!!放課後居残り!!」
「なんでだよー!ちゃんとテスト受けたじゃねーか!」
「ちゃんと答えを書かないと意味ないって言ってんでしょ?!」
「書いたじゃん!『答え』って!」
「そういう答えじゃなぁああい!」
あー!!
ほんっと疲れる!!
足早いし、もう私歳なんだから勘弁してよ……。
現文の先生をしている私。
新人で歳も他の先生より下だからか、黒羽にはナメられている。
頭はいいのに、何故ちゃんと答えを書かないのか。いや、一応は書いている。
答案用紙1面にでっかく、“答え”と。
……いいわけないだろーがぁああっ!!
って……
「あ、れ……?はぁああ…。今日は撒かれたな……」
さすが運動神経抜群だ。
一生懸命追いかけたが結局追いつかず、逃がしてしまった。
テストがある度にいつもこうだ。
今まで小テストは何回もしているが、捕まえられた事は3回くらいしかない。
捕まると素直に従う癖に、毎回逃げる。
一体何がしたいんだ。
でも今回は成績に大きく響く大切なテストだから……
「絶対捕まえる!!」
ーーーー
放課後のチャイム。
中森と帰ろうとする黒羽は敢えて無視し、中森に職員室にノートを一緒に運んで貰うよう、手伝いをお願いした。
「快斗、先に帰ってもいいよー?」
「いや、どっかそのへんで待ってるわ」
「わかったー!」
黒羽を睨みつけると、二カッと笑って手を振られた。むかつくから無視。
そのまま中森を連れて職員室までノートを運んでもらった。
「よしっ、これでいいですか?先生」
「うん、ありがとう!……で、中森にお願いがある」
「はい?」
「今から行くって黒羽に電話して居場所を聞き出してくれない?そして中森には悪いが今日は1人で帰って貰って、代わりに私が行く。今日は何が何でも居残りさせないと、成績に響くの」
「わぁ!面白そう!いいですよ!」
「面白そうって……苦労してるんだぞ…」
「あ、ごめんなさい……でも快斗は喜ぶと思いますよ!」
「何故喜ぶ!!」
「とにかく、電話しますね!」
「私が行くって言うなよ?!」
言うわけないじゃないですかーと楽しそうに携帯を取り出し、電話をかけた。
中森も中森で楽しんでるな?
「うん、わかった!じゃあ今から行くね」
「……どうだった?」
「全然疑ってませんでしたよ!屋上の貯水タンクの上にいるみたいです!」
また立入禁止の場所か……ったく……。
「わかった、ありがとう中森」
そのまま中森には帰って貰い、屋上へ向かった。
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