03
「工藤先輩」
「んー?」
「私、妹にしか見えないですか?」
「えっ……」
「見えないとしたら、どこら辺が妹ですか?」
「あーっと……そう言われてみれば……年下だから?」
「同い年だとしたら……どう見えますか?」
「同い年だとしたら……手ぐらい、繋ぎてー。……かな……」
えっ……?
どういうこと?
年の差のレッテルを貼ってたってこと?
同い年だとしたら、女として見てくれるの?
「それって……」
「あーもー!ほら!飯でも食いに行くぞ!」
「えっ?!あ、ちょっ……私お金ない!」
「んなもん俺が払うっつーの!」
「それは悪いです!あ!私作りますよ工藤先輩の家で!!」
「え?」
奢られるのは申し訳ないという気持ちから、ついつい口走ってしまった。
どうしよう!!
「あ、先輩がよければ……ですけど」
「……お前料理作れんの?」
「作れますよ!!」
ドキドキを返せ!!
ーーーー
「お邪魔しまーす……」
「おう」
そんなこんなで、結局工藤先輩の家まで来てしまった。あまりにも広く、緊張してしまう。こんな家で一人暮らしかぁ……。
「先輩、早速ですが何食べたいですか?てか冷蔵庫に材料入ってます?」
「一応は。なんか和食食いてーかな」
「日本人ですからねー」
なんて言いながら腕まくりをして、さっそく冷蔵庫にある物でご飯を作り始めた。
…が。
「先輩、油ってどこですかー?」
「その下んとこ」
「調味料って……」
「その棚の上にねー?」
「あ、ありました!」
「片栗粉は……」
「………」
後ろでコーヒーを飲みながら見ていた先輩から返事がないと思い、後ろを振り向いた。
「わっ!近っ!!」
すぐ後ろにいた先輩は腕まくりをしていて、いかにも手伝うといった姿。
「手伝ってくれるんですか?」
「色々場所教えんのめんどくせーからな」
「なんかすみません……」
「いやしゃあねーよ」
2人でキッチンに立って、2人で味見し合って……なんか、新婚夫婦みたい!!
「えへへ〜」
「んだよ気持ちわりーな……」
「気持ち悪いってなんですか!なんか新婚夫婦みたいじゃないですかー?」
「しっ……?!」
「あ、いえ、私は。ですけど」
そんなに驚かなくても。
どーせ工藤先輩には妹と作ってる様にしか見えないんだろーな。
「もう出来るので、座ってていいですよ」
「あ、おう……」
先輩に座る様促すと、またコーヒー片手に私をじっと見だした。
まぁ別に私は見られても平気な人だからなんとも思わないけど。
「はい、どーぞ」
「さんきゅー!」
料理を全てテーブルに運び、2人でいただきますをして食べ始めた。
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