01
「えっ……?」
「ん?だから、名前は妹に欲しかったなーってよ!」
「そう……ですか……」
「??おう。」
ショックだった。
この片想いの始まりは、私が中学一年生、工藤先輩が中学三年生の時。
2年前かな。
入学してそうそう、既に有名だった工藤先輩を一目見ようと必死に校内を探し、下駄箱に靴を入れている先輩を発見。
ようやく見つけたと嬉しい勢いで“先輩になってください!!”と思いっきり叫んでしまった。
「その校章、1年だろ?もう先輩じゃん?」
と優しく笑われた。でもそれがきっかけで仲良くなり、片想いに発展。
私は結構積極的な面があり、先輩に振り向いて貰おうと必死にアピールした。
でもそのアピールが妹みたいだと思われていたのは、今言われて初めて気づいた。
「妹かぁ……」
「なるか?ははっ」
この能天気な笑顔にだけはむかついた。
妹?
妹になんて……
「なりたくないっ!!」
「そ、そんな勢いで否定しなくても……」
「そんなに妹が欲しいなら私の妹あげますよ!!あ、でもそれはそれでずるいな……いや、やっぱだめです!!犬でも妹にしてくださいよ!!」
「何言ってんだおめー……」
「何も言ってませんよ!!」
「いや言って「もう帰ります!」
いつもの様に高校まで先輩を迎えに来たけど、今日はもう終わり。
今は一緒に帰りたい気分じゃない。
「どうしたんだよ?今日は不機嫌だな?」
「普通です。では」
早足で歩く私をちっとも追いかけようとしてくれない先輩に腹が立ち、少しスピードを落とす。
しばらくして後ろを振り返ると、先輩の姿はもう見えなかった。
「うっわ、全然追いかけて来てくれない」
もー!!!!
「先輩なんてだいっきらーい!!」
なんて、そんなすぐなれるわけないでしょうが。
ーーーー
「ただいまー」
「おかえりおねぇちゃん!!どうだったー?」
「今日は妹に欲しいってお言葉を頂いたから帰ってきたわ」
年子の妹はいい相談役。
ギリギリ工藤先輩と学校がかぶらない為、1度見てみたいから早く付き合えと毎日私の報告を待っている。
「あ!!あんたも工藤先輩狙ってるわけじゃないでしょうね?!」
「ないない!おねぇちゃんと趣味合わないもん」
失礼なやつめ。
まぁ、合ったら困るけどな。
「で?どうするのさ妹に見られて。女として見られなきゃだめじゃん!」
「うるせー中2のくせにこのやろー」
「おねぇちゃんだって去年まで中2だったでしょ!!もっと女らしいアピールしなきゃだめなんじゃないのー?」
くそー。
何なんだよ女らしいアピールって。
誘惑しろってか?
私が?
無理無理。
「あーもー!友達から恋人ならまだしも妹から恋人って進展なくない?!」
「そんなのわかんないよ?」
とりあえず制服を脱ごうと自分の部屋へ向かうと、それについてくる妹は私のベッドにゴロンと横になりだした。
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