01-3




「ねえ名前ちゃん、一緒に帰らない?」


その声に振り返ると、青子ちゃんと黒羽快斗。


「ごめんっ!私今日おじいちゃん迎えに来てくれてるの!ごめんねっ!」

「そっかーそれはしょうがないね!じゃあまた今度♪」

「うん、また今度!じゃあね、青子ちゃん、黒羽くん♪」


そう手を振ると、青子ちゃんはじゃあねー!といって大きく手を振り返してくれた。


黒羽快斗は私にへらっと笑って、おう。と二文字の簡易返事をした。












「お待たせ伊武」

「いえ、おかえりなさいませ。」


私は助手席に乗り込み車が走り出すと、ふぅとため息をついた。


「どうしでしたか?初登校は」

「疲れたわよ。学校に行くのが億劫だわ。」

「これからが始まりですよ。」

「そうね…彼、これを見て驚いていたわ」


右腕を挙げて伊武に見せる。


「でしょうねえ…」

と笑う伊武


「ふふ。そうよね。だって、昨日怪盗キッドが盗もうとしたあれは偽物。見た瞬間に戻したみたいだし…」


本物はここよ怪盗キッド

いえ………黒羽快斗……

そろそろ私の嘘に本格的に疑問を持っている頃でしょうね。

さあ、本物を見たあなたはどうする…?







「ただいまーって誰もいねえか」


一息ついた俺は地面にバッグを置くと、さっそく携帯を取り出し電話をかけた。


「もしもし?調べて欲しいやつがいるんだ。今日、転入生が昨日俺が盗もうと思って偽物だった、ビクスバイトの本物を持ってた。あれは確かに本物だ。親が美術館から買ったって言うが、一昨日までは美術館のやつは本物だった。あの次の日に宝石をもらって、たった一日でブレスレットにまで加工するのは無理だ。どうも怪しい。転入生…名字名前…頼んだぞ、じーちゃん」


電話を切ると、大きなため息を1つついた。


「くっそ…!もしあの言葉が嘘だとしたら…あいつは俺が盗む前にどうすり替えた…?俺が怪盗キッドだと知ってるのか…?あいつは何者なんだ…?」


疑問で痛くなる頭を抱えて

頭はあいつの事でいっぱい

名字名前……

何者なんだよ……




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