01-1




車の中から、見慣れない外を眺める

人、人、人。

「やっぱり東京は人が多いわね」

「お嬢様、憂鬱と顔に書いてありますよ。初登校日です、もっと明るく行ってくださいね」

「わかってるわよ」


呟く様に発した私の声は届いているのかいないのか。

その後新たに行く学校につくまで、互いに一言も発さなかった。



「着きましたよ」


それと同時に助手席のドアを開け、地へ足を落とす


「ありがとう。帰りもよろしくね」

「はい、お迎えに上がります」

「それと…ね?」

「わかっておりますよ。ご安心ください」


ニヤリと笑った伊武は、そのまま車を走らせた。


さすがね、伊武

そう呟きながら、校門へ足を運んだ。

ーーーー


「今日はみんなに転入生を紹介する。クラス替えがなかったからいい風だろ?」


そう笑いながら、どうぞと手招きをされた。


「名字名前です!よろしくお願いします♪」


いかにも高校生らしく

きっとみんなの第1印象は明るそうな女の子

緊張など皆無
そして狙うは1人



「みんなよろしくな。んーとりあえず…窓側の奥。そこに座ってくれ。あとは次の時間に席替えだ!」


その先生の声にクラス中が歓声を上げる

私は席へ移動し座った。


あの男とはほど遠い場所
席替えはチャンス


ホームルーム終了の鐘と共にみんないっせいに私の席へ向かってきた。


「名前ちゃん、よろしくね!」

「うん、よろしく!」

「あとで校舎案内するよー♪」

「ほんと?!ありがとー!」

「私は中森青子♪よろしくね、名前ちゃん♪」

「よろしく、青子ちゃん♪」

「私は「なあなあ俺黒羽快斗ってんだ!よろしくな!」


ポンッと1本のバラを出して私にくれる

女子の間を無理やり縫ってきたその男は屈託のない笑顔で黒羽快斗と名乗った。


「…ありがとう!よろしくね、黒羽快斗くんっ」


それにまた、私も屈託のない笑顔で返す


「もーバ快斗、無理やりすぎ!!」

「うるせーなアホ子!」

「仲が良さそうだね♪」


そう笑って質問とも取れる言葉を投げた。


「幼なじみなんだよこいつ」

「こいつって呼ばないでよバ快斗!!」

「バ快斗って呼ばないでよアホ子!!」


黒羽快斗は青子ちゃんの真似をしながら言い返す。


ほんと、仲がいいのね。



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