07-5
工藤新一と別れて、迎えに来てくれた伊武の車に乗り込む。
「いつも悪いわね」
「いえ、迎えに行ける限り行きますよ」
「ありがとう」
車に乗り込みながら、先程の会話を思い出す。
私はなんで……
黒羽快斗の態度なんて気にしてるの?
怒ってる原因はわかってる。
さっきカフェに入った時の後ろのおじさん…
快斗だってバレバレ。
オレンジジュース頼んでるし……
多分、私と工藤新一の電話を聞いて、つけて来たのだろう。
まあ私が探偵してるっていうのはもうとっくにバレてるし、キッドの話だし。
黒羽快斗と工藤新一の接触はないから、別に聞かれても問題ないんだけど。
でもなぜか、快斗の態度にチクッとした。
こんなの、気にしなくていいはずなのに……どうしてこんなにも気になるのだろう。
私の周りから、また1人消えてしまいそうな気がして。
次の日、心のうやむやを晴らすために宝石を盗みに行くことにした。
ナイトメアとして……
宝石に、また1つわからなくなった愛を嘆く。
嘆くように眺める。
こうすれば、誰も離れて行かない気がする。
それが間違った思考だと気づかずに……
次の日の放課後、私はすぐに迎えに来てくれている伊武の車へ乗り込んだ。
「おかえりなさいませお嬢様」
「今日は速攻家に帰って。すぐ準備するわ」
「かしこまりました」
伊武はきっとわかってる。
私が何故宝石を盗むのか。
直接聞かれたことはない。
ただ、私が両親に変わって。と言ってくれる唯一の信じれる人物。
きっと原因は両親だと気づいてくれているからこそ、私に力を貸してくれる。
「…伊武、いつもありがとう」
「どうなされたのですか?急に。私はお嬢様のお役に立てれば嬉しいですよ」
「ふふっ。お役に立ちすぎて困るわ。明日家事とか何もしなくていいから、のんびりしててよ。迎えも来なくていいわ」
「…お言葉に甘えて…」
「たまにはゆっくりして頂戴」
「ありがとうございます」
伊武は笑顔で、前を向き直した。
「着きましたよ」
「ありがとう!用意するわよ」
「はい」
家に着いた私達は、互いに用意をし始め
流れを確認。
その後、ある美術館に着いた。
「今日はキッドが出てこないから新一くんも出てこないだろうけど、もし電話きたら困るから私の携帯は伊武に預けて置くわ。電話きたらよろしくね」
「かしこまりました」
「あと、ヘリでホバリングの用意もお願い。ロープも。一応ね」
「はい、かしこまりました」
「部屋の温度設定よろしくね。防犯カメラは私がやるわ」
「はい、出来次第インカムで」
「了解。行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
さあ始まりよ。
待ってて、ラピスラズリ。
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