07-1





「おっ黒羽。もう体調は大丈夫なのか?」

「大丈夫です」

「あんまり良さそうじゃないが…名字はどうしたか知ってるか?」

「あいつも保健室にいました。体調悪いから、まだ戻れないらしいです」

「そうか…じゃあ授業続けるぞー」


自分の席に座って、隣の空間を横目に机に突っ伏した。

いつもなら先生に寝るなと注意されるが、具合悪いからしょうがないと思っているのだろう特に注意される気配はない。

俺はそれをいい事に目を閉じた。



なんであんな楽しそうにしてるんだ?
楽しそう、というか幸せそうに。


名前が探偵として工藤新一に近づいたのはわかる。

でもあそこまで親密になっていると思わなかった。

探偵同士の連絡、というより、カップルみたいな電話。

付き合ってるとかか?
探偵も俺を裏切ったのか?
それともこれも作戦か?
もう何も信用できねえよ、誰も。









「快斗…?どうしたの?ボーっとして…」


この声…名前か?



“ボーっとなんてしてねえよ!”

「えー?してたよー!ふふっ。今日、お弁当作ってきたの♪一緒に食べよ」

“あれ、この授業で最後じゃなかったっけ…”

「何言ってるのさーっ!お昼ご飯の時間だよ?」

“そうだったっけ…でも、名前の作った弁当なら食いてえっ!”

「食べよ食べよー♪」

“うわ、めっちゃうまそう!”

「今日はねー、快斗の為に快斗が大好きなものをたくさん作ってきたよ!」

“まじで?!嬉しい!ありがとうな!”

「だって快斗大好きだもん♪」

“…名前…本当か?でもお前は…ナイトメア……”

「ナイトメアー?何それっ!!」

“そんな笑うなよ!この間までニュースでやってたじゃん”

「えー?聞いたことないよー?何言ってるのさ!変なのーっ」

“…そっか…”

「ねえ…それより私さっき頑張って快斗大好きって言ったのに…返事してくれないの?」

“あっ…わりぃっ。俺も……俺も大好きだ”

「嬉しい……幸せだよ、快斗…」



“俺も……”



「…………と…っ!!」



“幸せだよ”



「……と!!…おきて…!!」



“名前………”





「バ快斗!!起きて!!」

「…んっ…名前…?」

「名前じゃなくて悪かったわねーっ!」


聞き慣れた声
この喋り方


「青子か…」

「青子ですけど!!いつまで寝てるの?!もう放課後だよ!!」

「おう…」



夢か…

すげー幸せだったな。
ふわふわ浮いてる気分で…
あの可愛い笑顔と優しさが脳に焼き付く。


ったく…いい夢なんだか悪い夢なんだか。




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