06-2
「…防犯カメラ、あるんですね」
「えっ、あ、はい…一応この部屋にもつけています」
「工藤君、私は警備室に行って防犯カメラの確認をしてくる」
「お願いします、中森警部」
「なぜ防犯カメラを確認するんだ!?」
「確認してはいけない理由があるんですか?」
「…いや…ないが」
「では引き続き、書類の捜索をお願いします。…中森警部、これを」
投げたのはインカム。
それをつけたキッドは、警備室へ向かった。
「失礼します。私、こういうものですが、防犯カメラの映像を見せて頂いてもよろしいですか?」
警察手帳を片手で広げ、あたりを見回すとみんな驚いたような顔をしている。
「…なぜですか?」
「ビクスバイトの件です。館長さんには直接お話ししています。防犯カメラの映像を見る許可も頂いております」
「では、私から直接館長に電話してみます」
従業員の1人は、直接館長のいる部屋に電話をし、確認した。
従業員の表情を見る限りOKを貰ったようだ。
「お待たせ致しました。確かに館長からお許しが出ていたようで、失礼致しました」
「では、過去の防犯カメラの映像を、どなたかのノートパソコンに流して頂けませんか?」
「あ、じゃあ私のを使ってください」
1人の女性がノートパソコンを持ってきた
そこに事件の一ヶ月前からの防犯カメラ映像を流し、細かくチェック
ノートパソコン越しに見える背景の大きな数々のモニターには、色々な場所が映っている
もちろん、館長の部屋もだ
このモニターから見る限り、館長は探偵の見張りの元まだ書類を探しているようだ。
また目元の映像に目を移した時だったーーー。
「…!!」
なんだこの映像の違和感…
何かがおかしい……。
「失礼します。」
「どうでしたか?中森警部」
「…いやあ〜ちゃんと親子2人映ってましたな!!こりゃあ失礼しました館長!!」
眉を下げガハハと笑いながら後頭部に手を当てたキッド。
ほんと中森警部そっくりだな……。
「そうでしたか…」
「書類も見つからねーみてぇだし…改めて出直してきますので、書類見つけておいてくださいね」
「捨ててしまったのかもしれないなあ。こないだ部下が整理をしてくれましてね…その時に間違えて捨ててしまったのでしょう」
「そうでしたか…それではしょうがないですね」
「では、俺達はそろそろ行きます。今日はすみません、疑ってしまって…ご協力ありがとうございました」
「どうも失礼しましたなあ…!!」
「いえ…」
こうして2人で美術館をでた。
「なんなんだあの警部と高校生は……危なく金が逃げるところだったよ……」
小さな声で呟くと、タバコに火をつけ大きくため息をついた。
prev|
next