06-1






「ちょっとすみません、館長さんにお話をお伺いしたいんですが…」

「はい、少々お待ち下さいませ」


受付の姉さんに電話してもらい、館長が直接出迎えてくれることに。


「お待たせ致しました。館長の中村です」


御丁寧に名刺を渡され、その代わりにキッドは警察手帳を見せて、館長の部屋に案内された。


「それで、お話しというのは…」

「ビクスバイトの件です。」

「…ほう」

「ビクスバイトの本物は、どこへ行ったんですか?今飾ってあるのはレプリカですよね」

「本物は、売りましたよ」

「売った方の名前は?」

「名前は…ちょっと忘れてしまいましたねえ」

「なぜ本物を売ったんですか?」

「あのビクスバイトは呪われてる石だと言われていました。私は信じていませんでしたが、その宝石がこの美術館に来た時から、私の周りで事故が多発して…。

私はもう置いておきたくないと思い始め、他に展示して頂ける美術館を探しましたがなかなか見つからなく、どうしていいか迷っていた時でした。

それをどこからか聞きつけたのか、ある親子が私に売って欲しいと言ってきたのです」

「親子2人…ですか?」

「ええ、お父さんと、多分娘さんだとおもいますが…」

「どんな感じの方か覚えてますか?」

「そうですねえ…お父さんは少し若めで、眼鏡をかけていました。髪の毛は茶色で、少しくせっ毛だった様に思えます」

「娘さんの方は?」

「娘さんの方はそうですね…控えめな顔で、眼鏡をかけていて…髪の長い、笑顔が素敵な女性でしたよ」

「そうでしたか…いくらで売りましたか?」

「1000万円ですね」

「1000万円…高価ですねえ。それを一括で払って貰ったんですか?」

「ええ、一括で」

「じゃあもちろん、領収書はもう発行していますよね?」

「…ええ」

「その領収書の控え、まさか捨ててないですよね?高価なものを売ったんですから」

「多分捨ててないとは思いますが…もう一か月くらい前の話です…どこにいったのかはわかりません」

「では今、探して頂けませんか?あと、もちろん契約書も書いていますよね?それも捨ててしまったんですか?」

「探してみます…」


館長はしぶしぶと書類の山を探し始める。


その間、この部屋を見渡しているとある物を見つけた。




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