05-3
「あーもーほんっとむかつく!!」
「まあまあお嬢様。落ち着いて下さい」
「まだ、“ナイトメア”としての正体はバレておりませんよ」
「いや、多分もう気づいてるわね」
「…そうですかねえ」
「多分、確信が持てる証拠がないから行動に移せないだけよ」
「大怪盗を侮るなかれ。ですね」
「あんな大怪盗のどこがいいのよ!!大っ嫌い!!」
私がムスッとすると、伊武が笑った。
それとともにポケットに振動
その大ッ嫌いなやつからの着信だ
「噂の大怪盗から電話きたわ。私の愛の叫びでも聞こえたのかしらね」
「…お嬢様も意地悪ですねえ…」
そう言って鼻で笑い家事を始めた。
伊武は私の助っ人
あくまでも助っ人で、怪盗キッドにはそれほど興味はない。
怪盗キッドの肩を持つわけでもなく、私の作戦に積極的に踏み込むわけでもなく。
家事をしているところを見ると、おじいちゃんって感じがする。
あっ
そうだ電話出なきゃ
「もしもし快斗?」
『寝てたか?』
「まさか♪起きてたよ!どうしたの?」
『…いや、ちょっと暇だったからよ』
「そうだったんだ。この時間って暇だよねー」
さっきまであんな状況だった2人。
互いに互いを隠し
互いに己を隠し
互いに意思を隠す
信頼しているのか、嫌悪しているのか。
だいたいはそのどちらか。
私達はーーー。
結局、会うことになった私達
伊武には、快斗との電話中に指と口パクで会いに行ってくると伝えた。
「よっ、わりーな、こんな時間に」
「んーん!全然大丈夫♪」
待ち合わせした夜の公園
そこのベンチで落ち合った。
季節は夏に近づき、綺麗な夜空と心地よい温かさの空気。
「「…これ…」」
互いに差し出したコンビニの袋
私が差し出した袋の中身はチョコアイスが2つ
快斗が差し出した袋の中身は私の好きなバニラアイスが2つ
「…まさか快斗も買ってきてくれるなんて思ってなかったよ〜っ!ふふっ」
「全部で4つになっちまったな」
「こんなに食べれないね!」
2人で笑いあって、互いが買ってきた好きな味のアイスを食べた。
「そのチョコアイス新作なんだってー♪おいしー?」
「うめえよ!食う?」
そう言ってアイスをすくったスプーンを、私の口の前にもってきた。
「いるー!いただきまーす」
それを食べると優しいチョコの味がした。
快斗がチョコアイス好きなのもわかるな
「んめーだろ?」
「うん!おいしー♪」
「ありがとな、買ってきてくれて」
「快斗こそ♪」
「いやいや…」
「バニラも食べる?」
「食う!」
快斗もまた、私が差し出したスプーンにパクっと口をつけた。
「お、なんか入ってる」
「え?なんか?バニラビーンズ?」
「ああ、バニラビーンズか!砂かと思った一瞬」
「なわけ!!」
2人で笑ってたわいもない話をしていると、アイスのせいか少し肌寒くなり、身震いしてしまった。
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