05-2





「俺のじゃねーかよ…いつの間に取ったんだよ」

「私に背中を向けてるからですよ。…随分と名前さんにアピールされているメールでしたね」

「はっ?!そんなのねえだろ…っ!おめーメール見てんじゃねえよ!!」

「見ていませんよ。冗談だったんですが…当たってましたか?」


喉の奥で笑う声と、足音が遠くなるのが聞こえた。

窓から出て行ったのだろう

ハンググライダーが開いた音もかすかに聞こえた。


「んにゃろ〜…覚えとけよキッド…」


ようやく階段から立ち上がり、宝石を元の場所に戻して、警察にはキッドから奪い返したとだけ伝え、帰路についた。


名前…やっぱり探偵じゃなかったんだな


…少し、妹みてーに思ってたのによ…


どこかで、名前は探偵であって欲しいって無理やり思ってたのかもしんねーな。



ーーーー



「…てわけだ。きっと間違いねえだろうな。謎の人物は…名前だ」

『そうでしたか…快斗ぼっちゃまどうなさるおつもりですか?』

「そう簡単に潰せる相手じゃねえが…先に宝石を取られるのはごめんだぜ」

『そうですよね。寺井は見守っておりますよ』

「ありがとな…!」

『いえ。当然のことですよ。それでは』

「おう」


通話ボタンを切ってイスに座って寄りかかり、上を向く。

…ふぅ。
今日は頭使い過ぎて痛ぇな…

結局、探偵に頼っちまったな。
ほんと恥だぜ。

高校生って事もバレちまったし。

でもここまでバレたらもう怖いもんはねえな…


名前…あとはおめーがどう出てくるかだぜ?


「なーんて。最近名前の事しか考えてねーや……」


……あ。

キス…しちまったな…

俺も心に余裕がねえ証拠だ

もっとしっかり名前を考える余裕があれば、あんな事はしなかった。
俺何焦ってんだよ…


名前が探偵と一緒にいたのは防犯カメラに映っていた時以外全部本人だろう。

それだけでも心がモヤモヤする

正体がわかった瞬間、なぜか学校にいる時の名前が恋しくなった。

名前は望んでいなくても、俺は名前を望んでる。

俺が怪盗キッドとして動かなければ、
俺が同級生として一緒にいれば、
名前はあの明るく可愛い笑顔で傍にいてくれる。


今すぐ

会いたいーーー。




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