03-4




「ん!おじいちゃんだ!おじいちゃーん!今ね、快斗が遊びに来てるの!」


鍵の開ける音が聞こえると、一目散に玄関まで走って快斗がいることを伝えに行く。

そうでないと、伊武が気付かず敬語を使ってしまうから。


「おじゃましてます」

「おお、はじめまして。ゆっくりしておゆき」

「ありがとうございます」

「雨凄かったから、快斗を家まで送って欲しいの」

「おお。そうかい。じゃあ車に乗りなさい」

「すみません、ありがとうございます」

「行こ♪快斗♪」

「おう!」


そうだそうだとまだ少し湿気っている快斗の学ランを持って、3人で車へ向かう。

私は助手席、その後ろに快斗

送っている途中も何気ない会話に花を咲かせた。


「あ、俺ここら辺で降ります!このコンビニで飯買って帰るんで。もう雨もやんでるし」

「そう、じゃあまた明日ね快斗!!」

「おう、じゃあな!」


言いながら快斗はコンビニの前で車を降りた。







名前のじいちゃん…怪しいな。



じいちゃんが帰って来た時に名前は一目散に俺がいることを知らせにわざわざ玄関まで行った。
別にじいちゃんが部屋まで上がってから俺がいる事を伝えればいいのに。

あのじいちゃん、名前と二人きりの時は態度を変えている可能性がある。

突発的に家に入った俺の事を事前にじいちゃんに知らせることができなかったから、その態度が出てしまわない様名前は玄関までわざわざ伝えに行った様に見えるな。

そして次にあのじいちゃんの行動

送ってもらう途中、運転していたあのじいちゃんは名前の近くにあるものをチラチラ見ていた。

多分何か取りたかったが頼めなかったのだろう。

名前はその視線に気づいて取ってやっていたが…。

名前の近くにあるものを名前に取ってと頼まなかったのは上下関係があり遠慮してる可能性が高い。

この二つの態度からして2人は祖父と孫の関係じゃねぇな。

あのじいちゃんの方が下の立場だと考えられる。

どーいう関係だ?
まだ謎が多すぎるな…。


コンビニには寄らず、そんなことを考えながら帰路についた。


「にしても…っぶねー…俺の家知られちまったら何されるかわかんねーからな…」


ーーーー


「結構勘づくの早いわね、家まで送らせなかったわ、あの子」

「家が知られたらやばいと思ったのでしょうね」

「いいのよ。家を知る必要は別にない。…でも、早めに行動に移した方がよさそうね。接触してみようかしら……。だとしたら、工藤新一…」







「工藤新一…あいつに……」


でもあいつは俺が黒羽快斗だと知らねぇ。

黒羽快斗としての接触は不可能だ。
かといって普段からキッドの格好はできねぇし…。

盗みに行った時に相談するか?

いや、警察もいるし、もしかして名前も隠れてるかもしれねぇ。


時間的にもそんな余裕はねぇな…

でも俺は探偵じゃねぇ。
謎解きにも限界がある。


「いや、あいつに相談?気がのらねぇ」


どうする俺……
名前の正体はなんなんだ…?
ほんとに何もねぇのか…?


名前の正体を暴きたい1面、名前はそんなやつだと認めたくない俺もいた。

少しずつ…
少しずつ。
名前に想いが寄っているのを、気付き始めていたからだ。




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