03-1
「おはよー♪快斗、青子ちゃん♪」
「あ!名前ちゃんおはよー♪」
「はよ!…名前…っ」
「ふふっ」
「あれあれー?いつの間に下の名前で呼びあってるのー?」
「るせぇアホ子!呼びあってるって言い方やめろ…!」
「何よー照れすぎ!バ快斗!」
「青子ちゃんも私のこと呼び捨てにしてよ♪」
「するー!青子の事も青子って呼んで♪」
「うん♪青子ーっ!」
「名前ー名前ー♪」
目をギュッと瞑って笑顔で何度も私を呼ぶ青子は、とても可愛らしい。
友達は大切よね、心から癒される。
例え何を裏切ろうと、友達だけは裏切らない。
私のモットーの1つ。
すると快斗が口を開いた。
「そういえば名前、昨日学校帰ってから何してた?」
「私?青子と遊んでたよ?ね?青子!」
「そう!私が名前と遊びたいなーって思って電話したら、OKしてくれたから遊びに行ったよ!」
「そうか…」
「どうしたの?」
「昨日、名前らしき人見たからさ。何してたのかなぁってよ」
「そんなに名前が気になるのー?ふふ」
青子がちゃかすと、快斗はまた顔を真っ赤にして焦る。
「ちげぇよ見ただけだ!!」
青子は私の方に向くと、そこまでムキにならなくてもいーのにねー?と笑った。
でも、正解よ快斗。
待ってて…
もう少しであなたに会える。
ーーーー
「やっと学校終わりー♪」
「青子、今日おじいちゃん迎えに来ないんだけど、一緒に帰らない?」
「そうなの?!でも…ごめんっ!せっかく名前と帰れるチャンスなんだけど…今日委員会なの…何時に終わるかわからないし…私の代わりと言っちゃあなんだけど快斗とでも…」
「なんで俺がおめーの代わりなんだよ…っ!」
どこからか苦虫を噛み潰した様な顔で出て来た快斗。
「ねぇ快斗、名前と帰って家まで送ってあげて?」
「おう、帰ろうぜ名前」
「うん!ありがとう!」
青子と別れて玄関に行くと、外は予想外の大雨で、大きく地面に叩きつく音が響く。
「げっ!?雨かよ?!」
「あらら…私傘持ってきてないや…」
「予報になかったもんなー…」
うん、と一言返事をして2人で空を見上げていると、頭に重みがかかり、視界に黒い布が入った。
「それで軽く防いどけ」
私の頭のてっぺんに、黒い布越しにとんとんと衝撃がきた。
見上げると快斗の手が私の頭の上に置いてある。
学ランをかぶせ、頭を撫でてくれたのだ。
「…ありがとう…っ快斗の匂いする…っ」
「えー?なんかやだなー」
眉を下げて笑う快斗に私も笑顔を返した。
「寒くない?」
「おう、平気だ。とりあえずおめーんちまで送るよ。傘買う距離でもねーしな」
いくぞ!と腕を掴まれ、走り出した。
頭にかぶせてくれた学ランの袖を揺らし、傘をさす人達の間を縫って走る。
2人でひ〜っ!と笑いながらとりあえず雨宿りできる屋根の下へ。
「名前、大丈夫か…?寒くねぇ?」
「うん、大丈夫…はぁ…快斗足早いね」
「おめーもなかなかだぜ?」
「ふふっ。」
屋根の下で少し休憩をした後、2人でせーのとまた走り出す。
こんな状況に、素の笑顔が零れた。
…こんなはずじゃなかったのに。
心の中で少し葛藤をしていると、私の家の玄関についた。
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