02-3
「おかえりなさいませ」
「ただいま」
迎えに来てくれた伊武の車に乗り込み、いつもの様にため息をついた。
「何か掴めましたか?」
「いーえ。何も。でも、掴みかけているものはあるわ」
喉の奥で笑い、窓の外を眺めた。
ーーーー
「そろそろ予告の時間じゃ警備を厳重にしておけ」
「はいっ!!」
一方、予告状が届いた鈴木財閥は、キッド逮捕に全力をあげ忙しく動き始めていた。
「あーキッド様が来るのね!!楽しみ〜♪」
「も〜園子ったら…」
「おめーらも被害受けたら大変だぞ、下がってろ」
「えーキッド様に連れ去られるのが夢なのよ?!私を連れ去って〜!キッドさまあ〜!!」
「…おいおい…」
「もー園子、危ないから下がるよ…!新一の言う通りにしよ…っきゃあっ?!」
「っきたかっ…!」
漆黒の中、蘭の声とともにどよめきたつ室内。
電気が消え、室内は真っ暗で視界を遮る。
その中から響き渡る特徴的な声。
「時間通り、宝石をいただきに参りました…」
「くそっ!何も見えねえ!蘭!園子!大丈夫か?!」
「私は大丈夫!!園子は?!」
「きゃああああっ!!」
園子の叫びだ。
「「園子!!!」」
鈴木次郎吉の呼びかけにすぐさま補助電源が入り、その瞬間、ポンっという音とともに何かがしゅるしゅると勢いよく伸びる音がした。
チラリと奥で見えた白いマント。
「蘭!園子を頼む!!」
「わかった!!」
そのまま新一は怪盗キッドが逃げたであろう方向へ走っていく。
「園子、大丈夫?!…園子?」
ソファに横になって幸せそうに眠る園子の手には、1輪のバラがあった。
「…キッドさまぁ…むにゃ…」
「…園子…とりあえず、良かったあ…」
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