02-2
授業中、黒羽君は眠いのか舟を漕いでいる。
「…ふふっ。黒羽君、黒羽君っ」
小さい声で話しかけると眠そうな顔で、
ん?と答える。
「黒羽くん、ほんとに照れ屋なの?」
笑顔で話しかけると、まだ言うかと苦い顔をされた。
「…ふふっ。可愛いね♪」
「…なっ!!可愛くねえよっ!!」
大きい声を出して立ち上がる黒羽君に、みんなビクッとこっちに振り向いた。
私はその瞬間、教科書をたてて顔を下に向け隠す。
「どうしたー?黒羽。可愛いって言われる夢でも見たのか?寝てるからだぞ」
クラス中に笑われる中、青子ちゃんだけはやれやれと言った表情だ。
「…はーい…」
適当に返事をすると、顔を真っ赤にして座り私に一言。
「ずりー……」
お互いにクスクスと笑いあって、その後もちょこちょこ話をしながら授業を終えた。
「んー終わった♪」
固まった体をほぐそうと両腕を横に伸ばすと、左腕が黒羽君の顔スレスレだったのか、腕を掴まれあぶねえと言われた。
「あっ、ごめん黒羽君!」
「いやいんだけどよ、その黒羽君ってやめね?」
「なんで?」
「快斗にしろよ。俺が可愛いんだろ?」
「答えになってないけど…わかった下の名前で呼ぶ♪」
「おう、そうしろ!」
「……快斗っ♪」
満面の笑みで言うと、照れたようで。
「………おうっ…」
私も恥ずかしがるように下を向いて言った。
「快斗も………ちゃん付けやめてよ…」
「あ、おう…」
「今…呼んでよ…私だけに言わせるなんてずるいっ」
「あっ、だよなっ………名前…」
「……ふふっ。なんだか照れるね…」
「…意外にな…」
「でも、快斗にそういう呼ばれ方するの…嬉しいよ」
私は言い逃げる様にバッグを持ち、じゃあね!とそそくさと教室を出た。
「…んだよあれ…反則だろ」
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