君が大人になったら
小学生1年生の私は、友達の哀ちゃんの家によく遊びに行く。
なんでも、面白い物を作ってくれる博士がいるの。
そして………新一お兄ちゃんもよくいる
哀ちゃんのお兄ちゃんではないみたい。なのに、何故かよく来ている
でも、哀ちゃんに用事があってほぼ毎日来ているんだって。
哀ちゃんと新一お兄ちゃんの話は難しくてよくわからないから、理由もわからない。
でもそんな新一お兄ちゃんに一目惚れをして………
今日、小学生1年生なりに、真剣に告白しようと思う。
「うっし、じゃあ今日も送って行くよ名前」
「あっ……ありがとう新一お兄ちゃん」
新一お兄ちゃんは、いつも私を家まで送ってくれる。
告白できる、唯一のチャンスだ。
哀ちゃんと博士に見送られ、新一お兄ちゃんと手を繋いで歩く。
「あっ……あのね、新一お兄ちゃん………」
「どうした?」
「名前ね、新一お兄ちゃん好き!」
「おっ?ませてんなー」
冗談としか捉えていない袖をぐいっと引っ張って、もう1度、真剣に。
「本気なんだもん!まだ1年生だけど、これからたくさん大きくなって、新一お兄ちゃんに追いつくから!!だから好きです!」
プルプルと震える手に必死に力を込めて、大きい声を出して告白した。
「………ごめん。俺、好きな人がいるんだ」
「………えっ………?」
私の恋は、あっけなく終わった。
もう、恋なんてしたくないーーー。
目の前が真っ白になっていると、しゃがんだ新一お兄ちゃんは私をぎゅっと抱きしめてきた。
「でも、お前なら追いつけるよ。俺に。また………戻ってこい……な?」
言っている意味がわからない。
私を慰めようとしているんだと、小さいながらに予想がついた。
泣き始めた私を見て、困った顔をした新一お兄ちゃんは家まで送ってくれて、いつもみたいに、“ばいばい”と手を振った。
早く、大人になれたら良かったのに。
そしたら可能性があったかもしれないのに。
もう、自分が嫌だ。
「おい、灰原」
「あら工藤君。戻ってきたの?」
「まだ試作品もできなさそうか?」
「まだ無理よ。どうしたの?やけに慌ててるわね」
「そっか………。なんでもねぇ。」
名前、ごめんな。
俺が好きなのはお前だ。
でも、今は付き合えない。
お前が元の体に戻るまで
お前の記憶が戻るまで
もう少し待っててくれ………
愛してる
ーENDー
次の日
「名前ね、やっぱり好きな人作ろうと思う!新一お兄ちゃんの事はすっきり忘れるね!」
「なっ…?!だめだ!!それはだめだ!!」
「なんで?!振ったくせにー!!」
この後喧嘩になったのは、言うまでもない。prev|next