6.涙を拭う
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「ほら、俺がいるからもう泣くな」

「うぅっ……うぇっ……新一っ…」


私のボロボロに着崩れた服を直し、指で私の涙を拭ってくれた。

さっきの男達は、私の身体が目的だったのだろうか。お金が目的だったのだろうか。
それとも、両方だったのだろうか。

服を引っ張られ、カバンを取られ。
乱暴に扱われた汚らわしい男達とは違い、優しい優しい手つきで私の涙を拭い抱きしめてくれた新一。

男達は警察に連れて行かれ、パトカーに囲まれ赤くチカチカしている光に包まれている私達。

確か、遠い昔もこんな事があった。
あの時は小学生だったからただの喧嘩に過ぎなかったけど、あの時も新一は涙を優しく拭ってくれた。
これからは、俺がしっかり守るからって。そう言ってくれたよね。


「名前は俺が守るから。これからも」

「え…?」


優しく微笑んで、そう言ってくれた。
覚えてくれていたんだね。
ちょっと恥ずかしくなって、“もう遅いし。”なんて言えば、


「ヒーローは遅れてくるもんだぜ?」


と笑った。
そんな元気づけてくれる新一に、私はあの頃から惚れていたんだよ。

貴方は、気づいていますか?



(守るなら、もっと近づきたいから。だから俺は、名前に話すことがある)




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