3.指ずもう
「暇だよー外雨だしつまんなーい」
「テレビでも見てろ」
「つまんないんだもん」
あぁー。とゾンビみたく赤井さんの上に項垂れてみる。
そんな事お構い無しに優雅に足を組んでコーヒーを飲みながらテレビを見る赤井さん。構ってよねー少しはさ。
コーヒーを飲もうと口に近づける手をブルブルと揺らして1人で爆笑したり、テレビのスイッチを切っては付けられを繰り返し挙句の果てにリモコンを届かない場所に置かれたり、赤井さんが広げた新聞のど真ん中に手を突っ込み穴を開けたり。
ポーカーフェイスの赤井さんだからこそ、邪魔すると楽しい。
怒らないしね。
少し甘えたくなり、キス顔でキスを求めると軽くちゅっ、とキスもしてくれる。
優しいなぁ。
「あ、赤井さん指スマしよー?」
「なんだそれは。指ずもうなら知ってるが」
「あ、じゃあ指ずもうでいーや!」
半ば無理やり赤井さんの左手に手を絡め、親指を立てる。
大してやる気がない赤井さんは親指を立てる事なくあっけなく私の親指に潰されてしまった。
チャンス!!と言わんばかりにグッと力を込める。
「負けた方は夜ご飯作る事ね12345678ぎゃーっ!!」
早口でペナルティを勝手につけ、高速で数えたもののスルリと逃げられ、ぎゅうっと逆に押さえつけられてしまった。
いやこれ潰れるって!!
力半端じゃないから!!
加減しろよ!
「いだだだだっ!!潰れる!潰れるー!」
悪戯の仕返しだと知らない私はその後素直に夜ご飯を作った。
(夜飯を作る姿はやっぱり様になっているな)
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