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戻ってくると、何冊かのノートと1枚の紙、ハガキや封筒とたくさん持ってきた。


「なんかいっぱい来てるぜ?」

「ノートは多分今日早退したから」

「あーだからノート入ってたのか」

「蘭かな」


ノートを手に取りそれを開くと、今日の授業のまとめが書いてある。

やっぱり蘭のノートだ!


「やっぱり蘭のはわかりやすいなー」


テストも近いので、集中して見ていると快斗が1枚の紙を見て質問してきた。


「名前、ステージ発表眠れる森の美女に決まったのか?」

「そうだよ」

「主役なんだ……あいつと」


あいつと…?と思ったがノートに集中していた私は、うん。と適当に返事をした。


「…へぇ。主役やりてぇって言ってたもんな」

「うん!すごく楽しみ〜♪早くやりたい♪」

「…そ。俺帰るわ」

「えっ…?」


ノートを閉じ、快斗を見るととても冷たい目をしていて。


そのまま私が止める間もなく帰ってしまった。


「…快斗…」


なんで怒ってるの…?
今日は看病してやるからって言ってくれてたじゃん…

なぜ怒っているのかわからぬまま目線を落とすと、ベッドの上には一部分がくしゃりとなった紙。


その紙を拾い上げて見てみると、内容に驚愕した。


「眠れる森の美女、役決定…お姫様役、名字名前。王子様役…工藤新一?!」


眠れる森の美女は確か王子にキスをされて目が覚める。

もちろん劇なので、ほんとにキスをするなんてありえないが…

快斗の言う“あいつ”は新一の事だったんだ。

私、ちゃんと話を聞かないで楽しみとか言っちゃった…

最低だ。
だから快斗は怒っちゃったんだ。


「原因は私じゃんか…」


1人の家に響く声

ついさっきまで座っていた快斗の痕跡はあとかたもなくて。

弱っている時に来てくれた嬉しさが大きい分だけ、1人になった時の寂しさは倍に増える。

快斗になんて言おう

誤解を解きたい
でも、誤解ではない。

確かに相手役は工藤新一なのだから。

メールでは言い訳じみてしまいそうなので、とりあえず電話をすることにした。




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