02
「快斗〜辛いよ〜」
「薬飲んだか?」
「うん」
「じゃああとはゆっくりするしかねぇな。なんか食う?」
「いらない。それよりどうやって入ってきたの?」
「いつもの〜」
にししと笑う快斗に呆れた。
そうだこいつはどんな鍵でも開けちゃうんだった。
でも他所から見たら怪しい。
だからやめなさいって言ってんのにお構い無しなんだから…
この思いを察したのか、今日は看病してやるから許して?とベッドから腰を上げた。
「どこ行くの?」
「なんか冷却シートみてぇのないの?」
「あるよー棚にあるー」
「お、あれか。氷枕も作ってやるから待ってろな」
「ありがとー」
なんか旦那さんみたいで嬉しいな。
今日は甘えちゃお♪
キッチンでがしゃがしゃ氷を入れている音が、なんだか今日は心地よくて、目を閉じた。
「持っへきあおー」
そのもごもごした声に目を開けると、何かを咥えている。
「うわアイス食ってるし」
「冷凍庫開けたらチョコアイスが俺を呼んでた!名前も食うか?」
「ふふっ…いらないよ」
うめぇのにーとニコニコしながら氷枕を敷いてくれる快斗に、まぁいいやと思いその清潭な顔に見とれていると、パチっと合う視線。
「ん?やっぱ欲しかったか?」
「へっ?いや、んーん!違うよっ」
「しょうがねぇなぁ…」
ん?いや違うと言いましたけど…
黙って見ていると、チョコアイスの上の方をパキッと歯で折り、口に含め顔を近づけてきた。
「えっ…何っ?移る…んっ!」
キスをされたかと思うと、少し溶けた大きいものが口の中を一気に冷やす。
その甘ったるい味に、アイスをくれたんだと理解した。
「どう?おいし?」
「甘い…でもおっきいよ…」
男の子の1口は大きく、口の中はずっと冷たい。
それに反して顔は熱くなる一方
「うーん…そのうるうるの目で言われたら俺の理性を崩壊させようとしてる様にしか見えないんですけど?」
顔を真っ赤にしてそんなことを言ってくる。
快斗からやった癖に…
「だめだよ、風邪うつっちゃう」
「俺に移せば名前は治るからいいじゃん♪」
「快斗に風邪引かせたくないし、だめ」
「えー…なぁお願い…だめ?」
「あー体だるいよー…あんなことやこんなことなんてできそうにないのに…快斗は体目的だったんだ…」
なんてバレバレの泣き真似をすれば、むぅ。ちげぇし。と膨れっ面。
冗談で言ったとわかっていても手を出さない快斗はやっぱり私を大事にしてくれてる。
快斗にまた今度ねと言えばケロっとして無邪気な笑顔。
単純なんだからこの子は…
なんてため息をついていると、郵便受けに何か届いた音がした。
「快斗、持ってきてもらってもいい?」
「おう、待ってろ」
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