01
「あっ!!名前!!風邪大丈夫?」
「おはよー蘭…大丈夫じゃないんだけどさ…」
昨日風邪をひいて学校を休んでしまった。
ほんとは今日も休みたかったんだけど、それはできない。
うちのクラスは学校祭でステージ発表をする事になり、眠れる森の美女をする事になったのだが…
役決めでなりたい役があるなら、学校に来て役決めだけでもしないといけないと先生に言われ、風邪ながらも学校に来た。
私の狙いはもちろん主役!!
学生のうちに1度は主役をしてみたかった。その為に今日登校したんだから。
1人で心の中で決意していると、友達があくびをしながら登校してきた。
「あっ?!おめー風邪治ってねーのに学校来たのかよ?」
「おはよー新一…だって主役やりたいんだもん」
「ばかだなおめーは…」
ため息をつきながら呆れ顔をしているのは、私の友達の工藤新一
東の探偵さん
私が江古田高校の黒羽快斗という人と付き合ってるのを唯一知ってる人物。
蘭たちには別に隠しているわけではないんだけど、今のところただ話す機会がないだけ。
ただ新一は、快斗の正体がキッドだということは知らないし、言うつもりもない。
「はい席に着けーチャイム鳴ったぞー」
先生の掛け声と同時にみんなわらわらと席につき、さっそく役決めを始める。
「まずは主役の森の美女やりたいやつ〜手挙げろ〜」
「「「はーい」」」
私を含め3人ほど手を挙げたが、多数決で私に決まった。
嬉しい気持ちの反面、風邪がひどくなった気がしてこの後すぐに早退。
家に帰ってきた私は、一人暮らしの為1人寂しくベッドに入り熟睡した。
ん…なんか冷たくて気持ち良い。
うっすら目を開けると、目の前に快斗がいた。
私のおでこに手を当ててくれてたんだ。
「わりぃ…起こしちまって…大丈夫か?」
寝たまま見る、快斗の困った様に笑う顔が可愛くて、
大丈夫だよ。
そう言って目立つくせっ毛を指先に巻き付ければ、優しく抱きしめてくれる快斗。
外の匂いと、快斗の甘い髪の香りに風邪なんか吹っ飛びそうな気がする…
まぁでもそれは現実にはありえなくて。
正直辛い!!
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