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「……江戸川コナン君。ですか?」

「……コナン君は子供っぽいじゃなくて子供じゃないですかー」



私のドキドキは見事なまでの空振りを見せた。


そんな彼にじとりを目をやる



「どうなんでしょうねぇ。恐ろしい男ではありますが……。まぁ、冗談ですよ」



相変わらずの爽やかスマイルに私もため息が零れる。



今なんですよ、子供っぽいとわかったのは。



「今?」

「えっ。口に出てました?」

「ええ、出てましたよ」

「ええっ!!」



あははと笑われたが、こっちはそれどころじゃない


やばいではないか!!


またもや狼狽える私とは正反対に、冷静に笑っている安室さんが口を開いた。



「僕もいますよ、好きな方」

「えっ………」



その言葉に、ピタリと動きが止まる



“聞きたくない”と“知りたい”の狭間を彷徨っている私をよそに、淡々と話し出す安室さん。



「歳はだいぶ離れてましてね……いつも遅刻をしていて、でも僕が作ったサンドイッチはしっかり受け取って、子供っぽくて可愛い子なんですよ。声の大きさなんて魅力的ですよ?」

「へ………?」




ははっと笑った彼を見上げると、緩い風が髪を揺らしていて。


その明るい髪色はキラキラと青に映える



「あの………それは………」



いくらアホな私でもわかる


安室さんが言うその人は、私しかいないから。可愛いを抜かしてね。



「じゃあ、ヒントですよ?……僕も、今知ったんです。貝殻を見て笑う彼女は、大人っぽい、魅力的な笑顔もするんだって」




その言葉に、一気に心臓の動きが加速した


それはもう、弾けてしまいそうなくらいに。



照れた様に笑う彼に抱き着くと、優しく抱きしめ返してくれた。



もう、確信するしかないじゃない




「安室さんから言って下さいよー……恥ずかしいじゃないですかー」



上を向いてムッと睨むと、またも爽やか笑顔で返してくる。



「まだ言いませんよ。名前さんが高校卒業してから言います」

「ええっ!!ひどい!!もー中退しちゃおっかなー」




にししと笑えば、“だめです”と断られてしまった。




「なんでですかー!」

「朝のサンドイッチ、渡せなくなっちゃうじゃないですか」

「うっ………それは嫌……」

「じゃあ今まで通り、遅刻気味で頑張って下さいね」

「…っ…遅刻気味は余計です…!」

「ははっ」





最後に、笑ったあなたにもう一つ


その瞳は


海より深く

空より蒼く

綺麗に輝いているーーー。



ーENDー


「ねー安室さん、言って下さいよ〜」

「言いませんよ。卒業したら、嫌と言うほど言ってあげますから」

「うぅ……」


(あなたは今日も、そうやって誘惑ラプソディーを唄い続けるんだ)

(好きですよ、名前さん)



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