02
「……江戸川コナン君。ですか?」
「……コナン君は子供っぽいじゃなくて子供じゃないですかー」
私のドキドキは見事なまでの空振りを見せた。
そんな彼にじとりを目をやる
「どうなんでしょうねぇ。恐ろしい男ではありますが……。まぁ、冗談ですよ」
相変わらずの爽やかスマイルに私もため息が零れる。
今なんですよ、子供っぽいとわかったのは。
「今?」
「えっ。口に出てました?」
「ええ、出てましたよ」
「ええっ!!」
あははと笑われたが、こっちはそれどころじゃない
やばいではないか!!
またもや狼狽える私とは正反対に、冷静に笑っている安室さんが口を開いた。
「僕もいますよ、好きな方」
「えっ………」
その言葉に、ピタリと動きが止まる
“聞きたくない”と“知りたい”の狭間を彷徨っている私をよそに、淡々と話し出す安室さん。
「歳はだいぶ離れてましてね……いつも遅刻をしていて、でも僕が作ったサンドイッチはしっかり受け取って、子供っぽくて可愛い子なんですよ。声の大きさなんて魅力的ですよ?」
「へ………?」
ははっと笑った彼を見上げると、緩い風が髪を揺らしていて。
その明るい髪色はキラキラと青に映える
「あの………それは………」
いくらアホな私でもわかる
安室さんが言うその人は、私しかいないから。可愛いを抜かしてね。
「じゃあ、ヒントですよ?……僕も、今知ったんです。貝殻を見て笑う彼女は、大人っぽい、魅力的な笑顔もするんだって」
その言葉に、一気に心臓の動きが加速した
それはもう、弾けてしまいそうなくらいに。
照れた様に笑う彼に抱き着くと、優しく抱きしめ返してくれた。
もう、確信するしかないじゃない
「安室さんから言って下さいよー……恥ずかしいじゃないですかー」
上を向いてムッと睨むと、またも爽やか笑顔で返してくる。
「まだ言いませんよ。名前さんが高校卒業してから言います」
「ええっ!!ひどい!!もー中退しちゃおっかなー」
にししと笑えば、“だめです”と断られてしまった。
「なんでですかー!」
「朝のサンドイッチ、渡せなくなっちゃうじゃないですか」
「うっ………それは嫌……」
「じゃあ今まで通り、遅刻気味で頑張って下さいね」
「…っ…遅刻気味は余計です…!」
「ははっ」
最後に、笑ったあなたにもう一つ
その瞳は
海より深く
空より蒼く
綺麗に輝いているーーー。
ーENDー
「ねー安室さん、言って下さいよ〜」
「言いませんよ。卒業したら、嫌と言うほど言ってあげますから」
「うぅ……」
(あなたは今日も、そうやって誘惑ラプソディーを唄い続けるんだ)
(好きですよ、名前さん)
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