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「名前ー!!早くー!!」

「蘭待って!!ポアロ!ポアロ寄ってくれないと私お昼ご飯抜きになる〜っ!」



制服姿で足を少々動かし手招きをする、幼馴染みの蘭


ほんとにいつも遅刻して申し訳ない


でも、こんな私をいつも待ってくれる蘭が好き。




「名前さん!急がないとまた遅刻しますよ」

「あっ…安室さん!」




蘭のすぐ後ろに立っていたサンドイッチを持った安室さん


いつも私にお昼ご飯を作ってくれる、そんな彼に現在進行形で恋をしている。



ようやく蘭の元に着き、息を切らしながら安室さんに問う。



「なんで私が来たってわかったんですか…?!」

「名前さんの目印でもあるその大きな声が聞こえましたから」



言われた言葉は少々心に刺さるが、ニコリと笑うその笑顔に完全ノックアウト


その爽やかスマイルに乾杯…なんて思っていると、蘭に“見とれてないで早く行くよっ”と小声で耳打ちされた。


勿論、蘭は私の想いに気づいているから小声で言ってくれたわけで。


やばいやばいと安室さんからサンドイッチを受け取り、お礼を言って走ろうとすると、安室さんに引き止められた。



「名前さん!明日、デートでもどうですか?」

「でででっ…デート?!?!」

「はい、ドライブデートでも」




いきなりのデートのお誘いだが、断る理由など皆無。



名前は体力が満タンになる薬をゲットした。


効果音が鳴りそうな心を抑え、首を縦に大きく振った。




「行きます!行きたいです!」

「では、学校頑張って来てくださいね。また連絡します」

「はっ、はい!!待ってます!」



手を振ってくれる安室さんを最後に、前を向いた私のテンションはオーバーヒート



このままスキップでもして学校へ行ってやろうかと思ったが、それは蘭や周りの人達に変な目で見られそうなので抑えた。



「名前、良かったわね!」

「やったー♪明日楽しみ〜っ!!」














「ははっ。名前さん、声大きいですって」



ーーーー


「海、綺麗ですね〜……」

「今日は天気がいいので、特に綺麗に見えますね」




デート当日の今日、緊張もすっかり解けて海沿いをドライブしてきた私達


小さなパーキングエリアの様な場所に車を止めて、2人で波打ち際を歩く



これで恋人同士だったら、尚良いシチュエーションだっただろう。

そこだけが少しばかり悔しいが、このデートだけでも充分嬉しい。




「名前さんは、好きな人とかいるんですか?」

「えっ……?!」



ハードルの高い突然の質問に、戸惑うしかない私。


どうしようと狼狽えていると、“あ。綺麗な貝殻見つけましたよ”と拾って私にくれた。



「あ、ありがとうございます……」



ピンク色の、少しもかけていない綺麗な貝殻。


これを拾った安室さんの姿を思い出し、クスリと笑ってしまった。


安室さん、少し子供っぽいところもあるんだなぁ。


今、新たな発見をして嬉しい。



「いますよ、好きな人。凄く大人で、落ち着いていて、優しくって……でも、子供っぽいところもある人です。ふふ」

「なるほど……僕が当てましょうか」

「えっ……?」



ここで当てられては、確信犯じゃないですか……


そんな思いを胸に、ドキドキしながら次の言葉を待った。




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