06
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私がキッドに助けて貰ってから1日が経った。

キッドは……快斗は来てくれるのだろうか。


正体が完全にバレてしまったのだから、きっと来てくれないよね。


私、気づいたの

怪盗キッドが好きなんじゃない。
黒羽快斗が好きなんだと。


だから彼の正体を知った時、素直に受け入れられた。


幼馴染みとして青子含め3人で共に過ごして来た人生。


一生この関係がいいと思っていたけど……神様は意地悪で。






ーーー俺、黒羽快斗ってんだ!よろしくな!



ーーーわぁっ…!バラ?どうやって出したの?



ーーーマジックだよ!仕掛けは教えねーけど!にしし。ところでお前の名前は?



ーーー私、名字名前って言うの!よろしくね、快斗くん!




泣いていた私を、マジックで元気付けてくれたあの日から、運命は決まっていたんだね。



「快斗………」

「キッド…の間違えでは?」




私の呟きを聞きつけたかの様に、彼は窓際にやってきた。


ハートのエースを咥えて。



「キッド……!!」

「そう、私は怪盗キッド………そして……」



口に咥えていたトランプを床に投げると、ポンっと軽い音と共に煙が舞った。



「……黒羽快斗だ。」

「!!!」




煙の中から出てきた彼は、学ランを着た黒羽快斗だった。


そしておもむろに私の手を取り、キスをする。



「名前………好きだ。」

「……っ……」




昨日、カードに“いつか”と書いて渡してくれたばかりじゃない。



早い様で遅い

でも、遅い様で早かった。



色んな気持ちがごちゃまぜになって気持ち悪い。


引き寄せてくれた快斗の胸に顔を埋め、泣いた。


耳元で、はぁ。とため息が聞こえる。




「ったく……。で、返事は?」

「私も……好き………」




言ったと同時に指で顎を持ち上げられ、視線が合うと彼の顔は真っ赤で。



「知ってる。……泣き虫………」

「んっ……」



そのまま、キスをされた。


意地悪だけど
変態だけど
幼馴染みだけど。


快斗の時も、キッドの時も、大好きなの



「意地悪………」

「そんな褒めんなよ」



ふふ。ばーか♪



ーENDー



「今日の名前ちゃんのパンツは何色かなっ…と!!」

「ぎゃっ!!快斗!!」

「ちょっと!バ快斗!名前と付き合えたからって調子乗りすぎ!!」

「るせーアホ子は黙ってろ!お?今日の名前ちゃんのパンツは白、へぶっ!!」


必殺、教科書二枚重ね顔面打


むかつく……やっぱりあの紳士のキッドの方が好きだ。



「名前さん、おはようございます」



私の左手を持ち上げキスをしてくれる探くんにおはよースマイルを返すと、快斗はムッと睨んでくる。
でもそんなの知らんぷり。



それと同時にチャイムが聞こえ座ろうとすると、いきなり快斗にお姫様抱っこをされた。



「快斗…っ?!」

「チャイム鳴ったぞー。よーしみんな座ったか?…っておい黒羽」

「先生!俺マジックの練習してくるぜ!」


私を抱いたまま窓際に立ち、ニカリと笑って私を見る。


「こら黒羽!マジックの練習に名字は関係ないだろっ!ってこらぁ!!待てー!!」



「快斗…っ!どこ行く気?!」

「スイートルームと言う名の黒羽の寝室へお連れ致しましょう。腰が砕けるほどに、愛で合おう」

「えっ?!まだ心の準備が…っ!えっ!ちょっ…まっ……いやぁああああっ!!」




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