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辺りを見回すも誰もおらず、窓から頭を覗かせると、暗闇に溶け込んで行く純白が光る。



その姿に視線を落とすと、胸ポケットにカードと赤いバラが1本。


そのカードを見てみると


“いつかあなたを頂きに参ります”怪盗キッド


と書かれていた。


その率直な内容が嬉しくて。

行ってしまった事が悲しくて。

カードを胸にまた泣いた。



私はいつからこんな泣き虫になったのだろうか。
精神面は強いと思っていたのに。


キッドと出会った事で、こんなにもすぐに脆くなったーーー。




『怪盗キッドの予告時間は、3分をきりました』


「!!!」




そのニュースに我に返る。


画面の左上には、減って行くカウントダウン


「……っ……」


キッドの予告を出した場所は、ここからそう遠くは無い。


心配なら行くべきではないのか

せめて直接視界に入れれば、まだ安心出来るのではないか。



携帯を開き、時間を確認する


今から行っても間に合いはしない。
でも、大幅見れるはず。


そう思うと、足が勝手に動き出す。


家を飛び出てひたすらキッドの元へ走った。


どうか怪我しませんように……


そう願って。












宝石を盗み、屋上へ走る





今日は探偵はいねーみてぇだな


探偵がいないとスムーズすぎる



そうため息をつきながら屋上へ着いた。




「よぉ、待ってたぜキッドさんよぉ」

「……先回りとは、汚い手ですねぇ。お友達も連れて来たんですか?名探偵」

「だってあゆみ達少年探偵団だもん!」

「今日こそ捕まって下さいよ!キッドさん!」

「負けねぇぞ!」



可愛いものだ


思わず笑みがこぼれる。
もちろん、不敵な笑みが。



名探偵はニヤリと笑ったまま


強風の中、互いに無言のまま向き合う


その時、耳に残る大きな声が聞こえた。



「キッド!!」




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