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いつもの学校を終えて

いつもの3人で帰る

幼馴染みの快斗と、青子と。


昨日のあの番組見た?とか、ごく普通の会話をする帰り道。



「あ、ねぇ快斗、名前。これからご飯行かない?」

「俺は今日用事あるからいいやー」

「私も今日は遠慮しとこっかな」

「えーっ何よ2人ともー!」

「あはは。ごめんね」




最近、よく快斗と用事が被る

青子もそれは疑問に思っていたようで。




「なんか最近二人ともよく遊べない日被るよね?あっ!付き合ってるんじゃないの〜っ?!」

「なっ?!付き合ってねーよ!アホ子!」

「そうだよ付き合ってないよ!私には好きな人がいるもーん」



いつも“誰?”と聞かれるけど、答えない


青子が不機嫌になるのは目に見えているから。



だって私の好きな人、怪盗キッドなんだもん。




ある日、暑くて窓を開けていると、突然そこに舞い降りてきた白い鳥


それが怪盗キッドだった。


最初はびっくりしすぎて、警察に通報しようと思ったけど止められた。


その日はすぐに追い出したけど、そこからほぼ毎晩来るようになって、たわいも無い話をしてく様になって……


テーブルの上の花瓶には、赤や青のバラが増えていき、そのうちに、彼が好きになった。



最近学校からは直帰して彼を待つ


今日も、そんな感じ。





家に着き、すぐ用意をする。


キッドとたくさん話せる様に。
時間を開けておくんだ。



いつもくる時間はだいたい決まっていて、今日も家事をしながら待った。




ーーーー


「今日は遅いな……」



外を見ると雨も降っている。


それでも、話せる様に窓を開けておく。




帰る時はあんなにも晴れていたのに。



今日は来ないか……



ため息をつきながらコーヒーを入れていると、風が一瞬強まり私の髪を揺らした。



窓を見るとカーテンが靡いていて、彼の白い肩と揺れる髪が見える。



来てくれたんだ……!!



そう思い、カーテンを勢いよく開けて笑顔を向けると、キッドは私の元へ倒れてきた。


「えっ………?」


真っ赤な顔をして、荒い息
熱を持っている様に感じる。



「キッド!熱?大丈夫……?!」


そう思い彼を支えると、手がぬるりと滑り、生暖かさを感じた。



「!!!」



手のひらを見ると、赤黒い血がベッタリとついている。


「血っ……!!どこ?!痛い場所言って!!それだけでいいから答えて!」


彼は意識が朦朧としていて、消えてしまいそうな声で必死に話すも聞き取れない



どうしよう……っ


背中辺りに血がついていたと言う事は、上半身のはず。


脱がせて私が探すしかない……!



雨と血が混じり、ぐしゃぐしゃになった上着、ネクタイ、シャツを脱がせ、なんとかソファまで運ぶ。


怪我をしている脇腹あたりに応急処置をして、風邪薬を飲ませ冷却シートをおでこに貼った。




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