04
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「……」

「……」



そーいえば俺あんま名前と喋ったことねーんだった。こいつのこと何も知らねぇしなぁ。
気まずいなぁ…



……あ。



「……なぁ」

「っはい?!」

「右肩濡れてんじゃん。もっとこっち寄れよ」

「わっ」


少し濡れてた肩を抱いて、俺の方に引き寄せた。濡れちまったら意味ねぇしな。


…距離も縮まるし。




「ああああのさ…っ!今日なんで学校休んだのっ?」

「宝石博物館行ってた!1人で!」



女好きの汚名返上をしたいから“1人で”を強調したけど……。

気づいてくれたかな?

1人で博物館なんてかっこいいっ…!
女好きなんかじゃ無いじゃない!
宝石に興味あるなんて意外ー!素敵!
とか思ってんのかなー?ぐへへ



「宝石とかに興味あるの?」


ほい来た!!



「あるぜ?意外だった?にしし」

「あ。今日その博物館に怪盗キッド来るみたいだね」



……あれ?
無視?
まぁ来るけどよ。
というか、行くけどよ。
……俺に興味ねーのかな。


「あぁ。らしーな!一緒に見に行かね?」

「あーうーん………」


微妙な反応だな。
でもさ、少しでも早く、おめーが欲しいんだよ。
ずっと好きだったんだ。
もう眺めてる毎日を終わりにしてぇ。

手が届く様で届かない、そんな高嶺の花に今、少し近づけた。
いつも宝石を盗む様にうまくいくなんてそんなのありえねー事で。
こんなにも俺は奥手だったか?

名前にとってはいきなりかもしれねぇけど……俺はずっとお前を見てたんだぜ?
今日、この想いを名前に伝えたい。




「キッド見終わったら……名前にさ……あの……」

「うん?」

「……」


……やっぱり奥手だな。
“伝えたい事がある”そんな言葉すら出ない俺は告白なんてできるのか?


「行くっ!!」


…まじで?


「え?いいのか?」

「そっちから誘ってきたんでしょ。ふふ」



その花咲く笑顔に快斗君撃沈です………
でも、決意した!!
ぜってぇ告白する!!

その笑顔、俺にしか見せねー様にしてやるよ!!


とか思うけどやっぱめっちゃ緊張する…



「っし!じゃあ決定だな!あー緊張してきた……!」

「え?なんで?」

「あ、いや………」

「ふふっ。快斗君わけわかんなーいっ!」


ぐぇ。緊張しすぎて気持ちわりー。
あぁ。その笑顔で俺を癒してくれ……。




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