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「……なぁ」

「っはい?!」

「右肩濡れてんじゃん。もっとこっち寄れよ」

「わっ」



グイッて……!
グイッて引き寄せられちゃったよ…!

恥ずかしいよこのシチュエーション!



「ああああのさ…っ!今日なんで学校休んだのっ?」

「宝石博物館行ってた!1人で!」


え?1人で博物館?
学校サボってまで?意外……
ってか抜けてんのかな?



「宝石とかに興味あるの?」

「あるぜ?意外だった?にしし」


無邪気に笑った彼の目は、綺麗な蒼い色をしていた。

その目が宝石の様だよ……!
なんてキザな事言えるはずもなく。


「あ。今日その博物館に怪盗キッド来るみたいだね」

「あぁ。らしーな!一緒に見に行かね?」



えぇ!全然興味ない!!

怪盗キッドこれっぽっちも興味ない!!


「あーうーん………」

「キッド見終わったら……名前にさ……あの……」

「うん?」

「……」


あらっ。下向いちゃったよ!!
気になるじゃん!
……実は俺が怪盗キッドなんだ。とか?

なんてね。ありえない。はは。

気になるから行こうかな。



「行くっ!!」

「え?いいのか?」

「そっちから誘ってきたんでしょ。ふふ」

「っし!じゃあ決定だな!あー緊張してきた……!」

「え?なんで?」

「あ、いや………」

「ふふっ。快斗君わけわかんなーいっ!」


ーーーー


「名前ー!一緒に帰ろうぜ!」

「快斗!帰ろっ!」

「どしたぁ?空でも見て。今日は雨だなぁ。ってか?」

「初めて相合傘した日の事思い出してた。快斗は覚えてる?」



懐かしいなぁ。
私にとって、大切な日。


「あたりめーだろ?俺がおめーに告白した日でもあんだからよ」

「わぁっ!玄関で抱きつかないでよ……学校だから恥ずかしい……」

「いいだろ?付き合ってんだし。名前が好き過ぎてたまんねぇーのっ」



ほんと、バ快斗……

でも、私も大好き。


「なぁ、傘持ってきたか?」

「持ってきたよー!初めて相合傘した日だけだよねー快斗が傘持ってきたの!」


初めて相合傘をした日以来、快斗が傘を持って来た事は1度も無い。


あの偶然がなかったら、今私達はこうやって寄り添って歩いてはいなかっただろうな。


まさか、こんなにも快斗が好きになるなんてね、へへ。



ーENDー


「なぁ。今日キッドの予告状出てんだけどさ、見に行かね?」

「いいけど……好きだね、キッド」

「今日……伝える事があるからさ」

「……わかった」


俺、やっぱり名前よりキッドが好きだ。とか言われたらどうしよ………。


……ないか!!はは


「ねぇ、私ーーー。」




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