01
「近藤、そろそろ付き合って欲しい」
「快斗くん……でも名前ちゃんが……」
「わぁーってる。いずれわかんだからいいだろ?名前、本当に俺の事好きかわかんねぇからーーー」
「……う……そ……」
『嘘だといいなって青子も思ってる。でも、見たの。恵子と。快斗と幼馴染みを10年以上やってきたけど、まさか快斗が浮気する人だったなんて……しかも、近藤さんと。』
嘘だよね……
嘘だ。快斗が浮気なんて。
『一応、写真撮ったの。この電話切ったら写メ送るね。辛いだろうけど、証拠を残した方がいいでしょ?』
「うん、ありがとう青子。伝えてくれて嬉しいよ」
『……強がらないで。こんなこと伝えられて嬉しい人なんていないよ。伝えようか迷ったけど、きちんと快斗と話し合って結論を出して欲しい。結論が出たら、ガッツリ快斗を叱るね』
「うん、ありがとう…」
『…うん…。じゃあ、切るね』
「じゃあね」
快斗と付き合って10ヵ月
最近快斗に、本当に俺の事好きなの?とよく聞かれてた。
心から大好きだったよ、勿論。
“好きだよ”の私の言葉が嘘くさかったのか、浮気を隠すためにわざとそう聞いていたのか。
今となってはもうどちらも同じ。
浮気が発覚してしまったのだから、別れるの一択のみ。
なんて素直に別れられたらいいのに。
私は快斗が大好きで、別れたくない。
かと言って見逃すのは無理。
震える手で開いた写メは、
「……っ……」
うちのクラスのマドンナ、近藤さんが快斗の手を握り、快斗が顔を赤くしている写真だった。
見たくなかったけど、これが現実
画面いっぱに広がる証拠に、涙が抑えきれず子供の様に泣いたーーー。
「私とは手も繋がなかった癖に……」
快斗が嫌い。大嫌い。
でも、大好き。
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