01
「彼氏がさ、困ってる時にヒーローの様に現れたらかっこよくない?!」
「……はい?」
「んだよ青子いきなり。おめー彼氏いねーだろ。まずそっからだ」
「うるさいバ快斗!!」
いきなり何を言い出すのかと思ったよ。
まぁ、確かに彼氏である快斗が、怪盗ではなくヒーローだったら、この上ないくらいに嬉しい。
でもね………
「助けた子を逃がす奴は到底ヒーローにはなれないね。むしろその逆だし」
「おい名前……っ!」
「……なによ本当のことでしょ?」
「うっ………」
「なぁんか2人とも朝からずっと喧嘩してるねー!まだ仲直りしてないの?」
「「してない」」
事の発端は昨日の学校の帰り道だったーーー。
「今日は予告状だしてるの?」
「おう」
「気を付けてね」
「なになにー?名前ちゃん心配してくれてるのー?さすが俺の大好きな「しーっ!!なんか音聞こえない?」
「えっ?そうかぁ?俺には「しーだってば!!ほら!なんか鳴き声みたいな…」
「……あぁ。これは「だから静かにしてって!」
「………。」
ムッとした快斗がいきなり近くの公園に入ったと思えば、小さく丸っこい物を片手に戻ってきた。
なんか毛むくじゃら……!!
「えっ?!なになに?!なんか毛生えてる!!毛虫?!嫌だ持ってこないで!」
「バーロー毛虫にしちゃでけぇし、毛虫は鳴かねぇだろ」
ほら、と手を広げたそれを見ると、か細い擦れた声で鳴いた仔猫だった。
「仔猫……!!可愛い〜っ!!」
「捨て猫だな」
可愛い……!!
可愛すぎる!
飼う!
「おめーんち猫飼えねぇだろ」
「え、なんでわかった?!エスパーか!」
「猫好きなら何考えてるかぐれーわかる」
そうです。猫大好きです。
ペット禁止のしがないアパートに住んでます。
「ってことで快斗くん!」
「へいへい。俺ん家で飼えってんだろ?」
「わーい!エスパーな快斗大好き!!」
「……なんでだろう。全然嬉しくねぇ」
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