06
「くっ!黒羽君っ……!!」
「なぁ名前、隠してるつもり?」
「……えっ……?」
「今の姿だと、感情、表に出るって気づいてるか?」
「……へっ?!」
似合ってるって言った時も
コーヒー入れてくれてる時も
そして好きな人が俺か聞いた時も
おめーのしっぽはピンと立っていた。
「猫ってさ、しっぽで感情がわかるんだよ。びっくりした時、しっぽは山型に折られ、嬉しい時、しっぽはピンと立つ。そして押し倒されてる今、しっぽが縦にパタパタと動いてる時は、どうしようって思ってる時だ」
「〜〜〜っ!!じゃ、じゃあ、嬉しいんだろ?って聞いて来た時、全部しっぽ見てわかってたの……?」
「ご名答」
「え……じゃ、じゃあ、私の好きな人…」
「わかっちゃったっ」
なんて語尾にハートを付けて言えば、声になってない声を出して真っ赤な顔を両手で隠した。可愛いなぁ。
あ、耳伏せてる。
やべ、めっちゃ可愛い。
「ちなみに今みたく耳伏せてる時は防御してる時。怖いのか?返事聞くのが」
「もう言わなくていいよぉ〜〜!!恥ずかしくて死にそうだし……そりゃぁ怖いよ!!怖いから嘘ついたのに……」
顔をまだ真っ赤にして泣きそうな顔
ちょっといじめ過ぎたかな?
可愛くて耐えらんね。
「ごめんな?」
「いいよ……。わかってたから……。私が勝手に好きになっただけだから……」
え?
誤解してる?!
「いやいや!ちげぇよ!今のは返事じゃねえって!ちょっといじめ過ぎたかなと思ってごめんなって言ったの!」
「……え?でも返事聞きたくない」
あー。完璧しっぽ丸めちまった。
耳も完全伏せてるし。
そんなびびんなよ。
俺は………
「俺は、名前が好きだぜ?」
「……へっ?」
「だっ…だーかーらーっ!好きだって…」
「……ほんとっ?!」
「あ、しっぽたってる。ぷっ。」
「みみみ見ないでよー!あーもー!しっぽやだぁっ!!」
可愛い。可愛すぎる。
でもこのまま襲うのは紳士らしからぬ行動だ……抑えろ。俺。
「……で?返事は?」
「……わかってるくせに……」
「じゃあ、キスしていい?」
「だめ……って言ってもどーせしっぽでバレるもん………」
ぬぁああああ!!
可愛いすぎだっつの!!
OKって事だよな?
キスまでキスまで……
「ん……」
「……バーロー、感情わかりやすいと襲いたくなるからやめろ……」
「ややややめろって言われても……!」
「まぁおめーは満足らしいから、今日はこの辺で我慢してやるよ」
「えっ?!なんでわかった?!」
「耳が前に向いてる。はは」
「あー次は耳かぁ……!うー!もうやだー!元に戻りたいよー!!」
「可愛いな、ほんと」
「やめて!!」
紅子から、あなたの好きな人の身になにか起こるって電話きたけど、こういうことか。
一日で効果が切れるって言ってたけど…
紅子に頼もうかな。夏休み中は猫の姿が続く様に。
んな事したら、名前の身が持たなくてかわいそーか。ははっ。
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