04
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「おめー、長毛の猫なんだな」

「ん、そうみたい」

「おっ」


触られた耳が、ピクリと動いた。
なんかくすぐったい。


「へへ。くすぐったい」

「……っ。可愛い」

「やめてったら!すぐそう言うのよくないよ!」

「ほんとのことだもーん」



口尖らせたってかわいくなんかないんだからね…っ!!



「は、はい次!!耳もう終わり!」

「へーい。……ふっさふさー」

「ひゃぁっ?!」

「えっ?!わ、わりぃ!痛かったか?」


付け根から先に向かって優しく撫でる感覚に、ゾワゾワと体に変な電気が走った。


なにこれ?!
なんなのやだ恥ずかしい!!


「お、終わり!尻尾はだめだわ!」

「え、なんで?やっぱ痛かったか?」


ごめん、と謝る黒羽君にこっちが申し訳なくなって必死に誤解を解いた。


「違うよっ!なんか変な感じがして……やっぱ神経繋がっちゃってんのかな?って!ごめんね、痛くなかったよ?」

「そっか。なら良かった」



ん?なんか少しニヤけてるのは気の所為かな?


「ね、コーヒー飲む?」

「あ、うん。わりーな」



来てくれたし、バレたからにはおもてなししないとね。
コーヒー出すくらいしかできないけど。


キッチンに向かってコーヒーを入れる。

うちに黒羽君が来てくれるなんて、嬉しいなぁ。

結局引くどころか可愛いなんて言ってくれたし……!ふふ。


まぁ、猫の姿だからなんだろうけど。

黒羽君が褒めてくれるなら、もう少しこのままでもいいかなぁ。なんて。


「はいどーぞ」

「さんきゅー!名前、ほんと可愛いな!」


え、なんでそんなお腹抑えて笑ってるの?!コーヒー入れただけなんですけど?!



「なんもしてないけどー?」

「わりわり。そんな睨むなって……ははっ。あーおんもしれー!」

「なんなのさぁ!!」


今日の黒羽君わけわかんない!
変なとこで笑う!
ほんとは面白がってるだけなのかな?



「…なぁ、名前の好きな人教えてよ」

「やだよ」

「……じゃあ、俺が当てる」

「へへっ。当ててみろー!」


黒羽君だっつーの。
まぁ、自分の名前挙げる人なんていないし、挙げたとしても違うって言うもん。

私は安全な道を通る派なので、黒羽君が私を好きだと確信を得てからじゃないと自分からは告白しない。

まぁ、そんな日が中々やって来ないから悩んでるんだけど。


「じゃあまずは名前の周りの男からだな…まずありえんのは工藤。工藤新一」

「ぶー」

「服部平次」

「ぶー」

「白馬探」

「……なんで探偵ばっかなのよ?違うけどさ」

「あ、いや別に意味はねーよ。名前の友達言ってるだけだろ?あとは…ルパン」

「それは次郎吉おじ様の犬でしょーが。……ってなんでルパン知ってるの?」

「にしし。秘密ー」


黒羽君、意外と顔広いなぁ。
白馬君以外から黒羽君の話聞いたことなかったけど……。
仲良しだったのかな?
それよりこれ以上探られるのはめんどくさい。どーせ全部違うって言うんだから。




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