01
「ねぇ、もし動物になれるとしたら、あなたは何になるのかしら?」
「あっ……紅子ちゃん……?」
屋上にいきなり呼び出されたと思ったら、なんだこの質問。
「いいから答えなさいよ。この私が質問しているのよ?」
「えと……猫……かな」
「へぇ」
へぇって!!
質問してきたのはあなたでしょうが!
「あなた、想い人は?」
「想い人?」
またさっきとはなんの関係もない質問を……。しかも想い人て。
いるけどさ。
黒羽くんだけどさ。
「いっ…いない……よ」
「あら。あなたわかりやすいのね」
ばっ!バレた……!!
そんなにわかりやすかったかな?!
これ聞かれるパターン?
「まぁ別に、誰かなんて興味なくてよ?聞かないから安心してちょうだい」
「えっ?じゃあなんで………」
ってまだ私が話してるのに、話も聞かず「ジュースを間違えて買ったからあげるわね」と持たされ、出て行ってしまった。
「……このジュース、美味しいのに」
暑い屋上で1人呟き、まだ新品の蓋をパリっと開けて喉を潤した。
ーーーー
「誰だぁ〜もっと寝かせろ〜……」
着信音で起きた。
なんとも不愉快だ。
今日から夏休みだと言うのに。
もっと寝かせろアピールしながら出てみようかな……って……!!
「黒羽君?!」
うっそまじかよ出なきゃ!!
「もしもし?!」
『もしもし名前?!大丈夫か?!』
「えっ?あ、うん。いくら寝起きの声だからってそんな……はは……」
私はいたって健在でございますとも。
『いや!体だよ!!』
「あ、体?やだなー失礼だよいきなり!こんな時間まで寝てたからってそんなすぐ豚になるわけじゃないし……」
『だぁーっ!!!鈍感野郎!どっからそーいう考え出てくんだよ!だから!あの名探偵みたく…じゃなくてっ…!体小さくなったりとかしてねぇか?!どっか痛いとか、おかしいとか!!』
えー……?とか鼻で笑いながら重い腰をあげて全身鏡の前に立った。
「!!!なっ……!!!」
なんだこれえええええっ!!
「きゃぁぁあああああっ!!」
『名前?!大丈夫か?!今から行くから待ってろ!!』
「いやっ……!来ないで!!」
時既にお寿司。
いや、遅し。
もうこう言った頃には電話は悲しい音しか鳴っていなかった。
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