04
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「好きな人は彼よ!!工藤新一君よ!!あの時会ったのは工藤新一君!!」

「え?なんでわか「いいから!!絶対そう!!今キッドを追って屋上にいると思うから!!あんたも早く行ってきなさい!話は後!!もう2度と会えないかもしれないのよ?!」

「う、うん……?わかった……」


こんなにも勢いづいた親友は初めてで、その勢いに飲まれ走って屋上へ向かった。

ついさっき、話を盗み聞きして知った工藤新一君をなぜ追いかけているのだろう。
理由もなく、根拠もなく、ただ走った。


でも親友は、理由も、根拠もあるから走れと言った。
長年連れ添った相方。
何故か高ぶる私の心臓。

今日くらい、親友を、この高ぶる心臓を真剣に捉え、向かおう。

あの人の元へ。



「っはぁ……はぁ……」


屋上についた時、キッドはもうおらず、悔しそうな表情で空を見上げる新一君だけがいた。


「あの……工藤新一君……?」

「っ!!……誰だ?」

「私……背番号5番、名字名前です。……背番号10番、工藤新一君。まぁ、5年前の話ですけど……」

「っ!!」


彼の大きく見開いた目でわかった。
あぁ、あの時の彼なのだと。
覚えていてくれたのだと。


そして彼の笑顔でわかった。
この音速並に早く動く心臓は、あの時と同じ。彼をやっぱり好きでいたのだと。






「あの時、一目惚れした。ずっと好きだった。名前。……さん?」

「ふふ。名前でいいよ。私もあの時一目惚れ……した……。好き…だよ。新一君」



背の高い彼から伝わってくるのは、包まれた温もりと、早い心臓の動き。

ずっと好きだった、と言えないのは、内緒にしておこう。



ーENDー


「蘭ちゃん!」

「名前ちゃん!新一!こっちこっち!」


蘭ちゃんとカフェで待ち合わせして、飲み物を頼むと隣に座っていた新一はさっそくトイレに行った。


「仲良くやってるみたいね♪」

「うん……。ほんとにあの時はごめんね、私と親友が話を盗み聞きしちゃって……」

「いーのよー!そのおかげで、二人とも会えたんだし!」

「でも……蘭ちゃんは新一が…その……」

「えー?もう前の話じゃない!今は全然!それに、新一が昔からずっと話してたあの子が名前ちゃんで良かったし、新一も今幸せそうで私も嬉しい!」

「蘭ちゃん……」

「新一が幸せなのも嬉しいけど、名前ちゃんも幸せそうで嬉しいし、こうして名前ちゃんと仲良くなれて私も幸せよ?」

「うぅ……」


なんて……
なんていい子なんだ……!!


「私、もっと仲良くなりたい。名前ちゃんと!……だから…その……」

「うん?」

「名前……って、呼び捨てにしてもいーかな……」

「……可愛い!!ぜひ!!私も蘭って呼ぶ!!」

「やったー!」


蘭ちゃんの可愛さに、思わず抱きしめてしまった。


「……何やってんだおめーら」

「新一に蘭は渡さないから!」

「そうよ!新一に名前は渡さないんだから!」

「はぁ?俺がトイレ行ってる間に何が起きたんだよ。名前はもう俺のもんだっつーの。蘭には渡さねーよ」


やめてよ。その笑顔。
また心臓が持たなくなるじゃん。
大好きだよ、新一。


「俺も」


……えっ?




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