01
「また来たのね」
「えぇ。貴方を奪えるまで、諦めるつもりはありませんから」
工藤新一の妹で探偵の私。
小さくなった私のお兄ちゃんは、私を黒の組織に巻き込むのが嫌だからと、蘭の家に居候する事になった。
蘭はいいのか。なんて思いつつ了承した私。
父と母は海外にいて、私は実家で一人暮らし。
この事情を知ってか知らずか、まぁ前者だと思うが、この白い鳥は羽休めだと言って毎回ベランダにやって来る。
羽休め。なんて言い訳で、来ては探偵の私になんともご丁寧に愛を啓する。
「怪盗も好きな人なんて出来るのね」
「人間なので。恋もします」
「そう」
「えぇ。貴女に」
「もう耳が腐るほど聞いたわ。私も好きよ。でもね、嫌いなのよ」
「………」
「あなたの“好き”は本気じゃない」
「本気ですよ?」
「あなたの“好き”は、弱さと、脆さと、甘えで出来てる。愛はないの」
「というと?」
「自分で見つけて。……でも、ヒント。あなたはビビリ。私は甘くない。」
この2人が、ヒント。
「……追手が来ましたので、また。体を壊さぬ様、お気をつけください。名前嬢」
いつもの様に私の手の甲にキスをして、闇へと消えた。
「……好きだよキッド。でも、弱い男は嫌いなの。それがいくら優しさで出来ていたとしても」
普段の私は明るいんだけどな。
キッドを前にするとどうしても厳しくなってしまう。
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