04
その後キッドが私の所に来る事はなく、一ヶ月が過ぎた。
キッドは今何をしているのだろう。
青子の所に姿を現す様子もないし。
それとも、青子は隠しているのかな。
「おはよー!名前!」
「おはよ、青子」
「あれ、元気ないね?どうしたの?」
「んー、好きって言ってくれてた人が最後に花を渡してくれて、来なくなったからさ」
「え?!そんな話知らなかった!誰?!」
「青子の知らない人だよ」
「なんだぁ。なんの花もらったの?」
「向日葵」
「向日葵かぁ。その人、まだ名前を好きだと思うな」
「え、なんで?」
「向日葵の花言葉、知ってる?」
「え、知らない………」
花言葉なんて、これっぽっちも考えてなかった。
「“貴方をずっと見つめます”だよ」
「え………?」
キッドは言っていた。
この意味がわかった時、完全に魔法にかかると。
私は、キッドが好きなんだ……
こんなにも、嬉しいなんて。
魔法にかかったんだ。
いや、かかったと言うより、掛かっていた事に気づいたんだ。
どうしよう。
凄く、会いたい。
「よっ!!二人ともっ!!」
「「わっ!!」」
後ろから2人の首に腕を回す、こんなことをするのは快斗しかいない。
「ちょっとやめてよバ快斗!!」
「るせーよアホ子!……名前、なんかわかった顔してんな!」
「えっ?あ、うん」
なんでそんなにニコニコしているんだい君は。
「名前ってば、両想いの人にもらった花言葉の意味、今更わかったんだよ?」
「……両想い?」
「ちょっ!青子!両想いなんて言ってないでしょ!!」
「でも、答えは出てるんじゃない?」
そう、答えは出てる。
私は、キッドが好き。
最初から計算していた、計算高いところも、キザなところも、優しいところも、全て。
「会いたいな、その人に」
「おめでとう、名前!」
「「ありがとう!!」」
「…なんで快斗が言うのよ」
「私の好きな人は快斗じゃないよ」
「あ、いや別に………」
ーーーー
「こんばんは、愛しの名前嬢。今宵は1段と、綺麗ですね」
「全てを知っていた癖に」
「中に入っても?」
「おいで、キッド……」
ーENDー
青子は、怪盗キッドが快斗だと薄々気付いていたのか。
それとも快斗は名前が好きだと気づいていたのか。
快斗は、2人にキッドだと気づかれていたのか。
名前の言っていた、“全てを知っていた癖に”とは、怪盗キッドが快斗だと気づいたのか。それとも計算高い事を指したのか。
それとも、この先誰も何も気づくことのない綺麗な三角関係なのか。
この難しく結ばさった奇跡は、これからどうなるかは誰も知らない。
あなたのご想像に、お任せします。
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