03
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いつもより早く帰った彼

いつもまだしつこいと言っていたこの時間は、キッドが来る前はどう過ごしていたっけか。


持て余した時間は、ソファにぼーっと座る事で、虚しく過ぎて行った。


その時、急に鳴り出した携帯にびくりと肩を揺らせば、青子からの着信だ。


「どうしたの?」

『快斗から、今から夜景でも見に行かないかって誘われちゃったー!!』

「え、まじで?!告白じゃない?!てかそうじゃなくても告白しちゃいなよ!!」

『そ、それは無理だよ……』

「まぁ、無理強いはしないけどさ、良かったね!明日報告よろしく!!」

『うん!じゃあ早速行ってくるね!』

「頑張って!じゃあね!」



いつもは喧嘩してる2人だけど、青子はやっぱり女の子だなぁ。
可愛いっ♪


あれ、でもさっきキッドが青子んとこ行くって言ってたけど大丈夫かな。

……あれ?

快斗が……キッド……?

まさか………

そのまさかだとしたら………?



「………なーんて、ありえなーっ!!」


あの変態野郎からあんなキザなセリフポロポロと出てくるわけないし、残念だったな、キッドよ。


何故か少し、気持ちが楽になった。





ーーーー


「青子ごめん!昨日もう寝ちゃってて返事出来なかった!あのメール、どういうこと?!」

「名前……」




昨日の夜、青子からメールが入っていたが、既に寝てしまっていた私は朝起きて、メールを見て、内容に驚きを隠せなかった。


『告白してないけど、振られちゃった』



と、そう書いてあったのだ。


学校に来て、朝一に質問して今に至る


本当に、何故こうなった?



「昨日夜景見に行かないかって誘われて行ってね、俺、好きな人がいるんだってカミングアウトされちゃったの。相談できる人は青子しかいねぇからって。」

「快斗の好きな人、青子だと思ってた…」

「青子も少しは期待しちゃった。恥ずかしいけど。快斗も、好きな人が振り向いてくれないみたい」

「そしたら青子にチャンスあったじゃん!アピールしちゃえば良かったのに!」

「だめだよ、そんなの。快斗には幸せになって欲しいから。同じ境遇だから、親身に相談乗れたし、もういいの。なんかスッキリしちゃった!」

「そっか……」



青子の心は白く、きれいだった。

私の心は黒く、汚かった。


その時確信した。
キッドには、青子が似合うと。
もう彼は、私の所に戻って来ないと。


「……これから、快斗に似てる様ないい人に出会うよ、きっと」

「もうあんな変なヤツごめんだよ」


2人で眉を下げて笑った。


綺麗な三角関係が出来ている事など
誰も知る由もなく。




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