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「では、私はもう行きますね」

「え?もう?」

「青子さんの所へ行くので」

「……本気とか言った割には随分さっぱりしてんね」

「もう、貴女の事は諦めましたから。きっとこれから何も変わらない。今の貴女の瞳に、書いてあります。“終わり”と。」

「そっ……!そんな事思ってないよ!」


そんな事思っているはずがないのに。
だって、少しだけ、寂しいと思ったから

私から言ったけど、あまりにもスムーズ過ぎて、何か納得がいかない。



「では、どう思ってるんですか?」

「……なんとも思ってない」

「……そうですか。では、名前嬢。これからは遠くから貴女の幸せを願って……」



ポンッと軽い音と共に出た花は、バラではなく向日葵だった。


「あれ、いつもはバラなのに」

「太陽といえば向日葵ですよ」

「いやそうだけど……」

「この意味がわかった時、貴女は完全に魔法にかかるでしょう」

「あなたいつの間に先生から魔女になったの?」

「……私は男ですよ……」



何故か、悲しそうに笑った気がした。

私の頬にそっと、布越しの暖かさが伝わる。それと同時に、唇に柔らかさと、微かなリップ音が耳に甘く響いた。


「なっ……!!!」

「さようなら、名前嬢」



ポンッと軽い音がしたと思えば、もう彼の姿は無く、きれいな夜空に月が私を照らしていた。



「……嫌とか、思ってないから」




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