01
bookmark






「こんばんは♪名前嬢。今宵も漆黒の闇に包まれた。この闇と、そして貴女の漆黒の瞳に映えるのは、この白い怪盗しかおりません」

「しつこい」



毎日……



「こんばんは、名前嬢。今宵は満月です。満月には、引きつける力があるのをご存知ですか?貴女の魅力が私を引きつけるのと同じ様に……」

「しつこい」



毎日………



「今宵も可憐ですね、名前嬢。アダムが人間でイヴが生命なら、私は月で貴女は太陽。月は、太陽がなければ光続ける事はできません。アダムとイヴが存在する以前から、決まっていた運命です……」

「…………」




毎日毎日毎日!!
夜ベランダにやってきてはキザなセリフを吐きにやってくる。


事の発端は、逃げた時にたまたま家のベランダに着いたらしいその時の、始めてした会話。



「こんばんは、お嬢さん♪」

「え、怪盗キッド?」

「ご名答。こんな可憐な女性の家に着いてしまうなんて、私は月の様ですね」

「は?」

「太陽は月の何倍も遠い距離にあるのに、主張は絶えずキラキラと輝いている。それは月の何倍もある大きさによるもので、私はそれに惹き付けられた」

「え?」

「しかし地球から見ると遠近法で同じほどの大きさに見えるのですよ。太陽の様な貴女はそれほどに輝いて見える」

「え、何?あなた地理の先生なの?これは地理のお勉強ですか先生」

「太陽の火が私に燃え移った事を、お許しください」

「先生質問です」

「はい、なんですか」

「結局何が言いたいんですか?」

「私は、貴女に恋をしてしまった様です」

「……は?」



言いたい事をいちいちこんな長ったらしく喋ってたら1分で済む言葉も1時間くらいかかるんじゃないかと思った。


これきっと乾燥の時期は飲み物いくつあってもたりないよね?


勿論、「私はあなたが普通の人間にしか見えません」と丁重にお断りさせて頂いた


しかしそれが悪かったのか、彼は毎日来る様になり、今に至る。


正直うざい。



「もー毎日毎日しつこい」

「本気だと言う証拠ですよ」

「そんなキザなセリフ本気に思えるかっ!!他の子に言えっ!!」

「貴女にしか言いませんよ」

「もーさー、そんな女の子に飢えてるなら紹介してあげるから諦めてよ私の事」

「他の人のところへ行ってしまって良いのですか?貴女は既に魔法に掛かりかけている様ですが」

「え?後半『か』が多すぎて聞き取りずらかった」



ホントは何言ってるか聞こえてんだけどね。でも意味わかんないから流した。


「私の友達に青子っているんだけど、どお?でもキッドは嫌いらしいから、ほんとの姿で行けばいい感じになるんじゃないかな?青子が好きな子、なんか君に似てるし」



あ、でも青子は快斗が好きなのにキッド紹介しちゃあ失礼か。


「……え?青子さんの好きな人が…?」

「え?そうだけど、どしたの?」

「……いえ。ではその青子さんに、私が自ら出向いて行きますね」

「おっ?」



なんだ妙に素直じゃないか。
それもそれで少し寂しい……くない!

毎日毎日うざいやつが来なくなるんだ!
清々する!

青子はきっと、ほんとの姿のこの人に惚れると思う!!
なんとなく快斗に似てるし!

快斗振り向いてくれないって言ってたし。




prev|next

[Short画面へ戻る]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -