07
「くっ……黒羽君……はぁ……ここ立ち入り禁止……だよ……」
私が浴衣でここを登るなんて…
例え浴衣じゃなくてもきつい……
「わりーわりー!浴衣なのに。でも立ち入り禁止だから登ったんだよ」
「え?なんで?」
その瞬間、大きい音楽に合わせ打ち上がる花火。
スタートの花火は、自分に降り掛かってくるんじゃないかってくらい大きくて綺麗だ。
「わぁっ……!!綺麗……!」
「ここめっちゃ綺麗に見えんだぜ?」
悪戯っ子の様に笑う黒羽君の後ろから、花火がパチパチ上がるのがなんだか可笑しい。
「ふふっ……」
「え?なんだよ」
「別にー」
って……!!
「ああっ!!青子!青子呼ばないと!」
「もうちょっとだけ2人で見ようぜ?まだ話し終わってねーしさ」
「えぇ……話すなら花火終わってからの方がいんだけど……」
花火なってる途中に振られるとかちょっと悲惨過ぎる……
「だぁかぁらぁ!一方通行の恋が終わりっつーのは……俺もおめーが好きだって意味だよ」
「……へ?」
え?
ええ?!
嘘でしょ?!あの黒羽君が?!
私を?!
「へ?じゃねーよバーロー。恥ずかしい事2回も言わせんな……」
「し……信じられない……」
「あーそーかよ!じゃあ信じるなっ」
ああっ!怒ってそっぽ向いてしまった!
ほんとなんだ……!
「信じていい……?」
「あたりめーだよ。本気なんだぜ?俺」
赤い花火をバックに見る横顔は、少し赤い気がした。
花火のせい……って事にしておこう。
「私も好きだよ?本気で」
きっと私の顔は、世界一幸せそうな顔をしてると思う。
大きい音楽に、
大きい花火。
それを背に近づいてくる黒羽君の顔に、自然と目を閉じ応えた。
今日は、幸せな思い出になりそうだ。
今までで一番の。
「…ねぇ、なんで私今までたくさん大好きって言ったのに、応えてくれなかったの?」
「うざかったから?ははっ」
「うわひど!全く答えになってないし!」
その後手を繋いで青子の元へ行くと、怒るどころか、おめでとう!!と祝福してくれた。
きっと青子もわかってくれていたんだ。
3人で見る花火は、また別の幸せを感じた。
ーENDー
「おはよー青子!」
「おはよー名前!」
「おはよー愛しの黒羽君!!」
「おはよー愛しの……って無理!!俺さすがにそれは恥ずかしくて言えねーわ!」
「もー黒羽君ったらおちゃめさん!」
「るせー」
「そういえば、花火大会の日近くで事件あったらしいね!青子知らなかったー」
「そうだったのか?」
あ!そうだったそうだった!
「そのことなんだけどね、見て!新聞持ってきたの!!」
みんなに自慢しよーっと。
その場に新聞を広げて、大きな1面を指さすと、青子と黒羽君は顔を近づけた。
「毛利探偵……?」
「この毛利探偵を呆れた顔で見つめてるこの子!!私が一緒にりんご飴食べたって言う、息子!」
「げっ!!ボウズ?!」
「この子だったんだー!きっと毛利探偵と近くの事件現場に来てたんだね!」
「黒羽君、知ってるの?」
「い、いや知らねーけど……」
ぁあああ………と項垂れる黒羽君に、青子と2人で首を傾げた。
(っくしゅ!)
(あら、コナン君風邪?)
(なんか悪寒が……)
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