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「くっ……黒羽君……はぁ……ここ立ち入り禁止……だよ……」


私が浴衣でここを登るなんて…
例え浴衣じゃなくてもきつい……


「わりーわりー!浴衣なのに。でも立ち入り禁止だから登ったんだよ」

「え?なんで?」



その瞬間、大きい音楽に合わせ打ち上がる花火。
スタートの花火は、自分に降り掛かってくるんじゃないかってくらい大きくて綺麗だ。



「わぁっ……!!綺麗……!」

「ここめっちゃ綺麗に見えんだぜ?」


悪戯っ子の様に笑う黒羽君の後ろから、花火がパチパチ上がるのがなんだか可笑しい。


「ふふっ……」

「え?なんだよ」

「別にー」


って……!!


「ああっ!!青子!青子呼ばないと!」

「もうちょっとだけ2人で見ようぜ?まだ話し終わってねーしさ」

「えぇ……話すなら花火終わってからの方がいんだけど……」


花火なってる途中に振られるとかちょっと悲惨過ぎる……



「だぁかぁらぁ!一方通行の恋が終わりっつーのは……俺もおめーが好きだって意味だよ」

「……へ?」


え?
ええ?!
嘘でしょ?!あの黒羽君が?!
私を?!


「へ?じゃねーよバーロー。恥ずかしい事2回も言わせんな……」

「し……信じられない……」

「あーそーかよ!じゃあ信じるなっ」


ああっ!怒ってそっぽ向いてしまった!

ほんとなんだ……!


「信じていい……?」

「あたりめーだよ。本気なんだぜ?俺」


赤い花火をバックに見る横顔は、少し赤い気がした。

花火のせい……って事にしておこう。


「私も好きだよ?本気で」


きっと私の顔は、世界一幸せそうな顔をしてると思う。

大きい音楽に、
大きい花火。
それを背に近づいてくる黒羽君の顔に、自然と目を閉じ応えた。

今日は、幸せな思い出になりそうだ。
今までで一番の。



「…ねぇ、なんで私今までたくさん大好きって言ったのに、応えてくれなかったの?」

「うざかったから?ははっ」

「うわひど!全く答えになってないし!」





その後手を繋いで青子の元へ行くと、怒るどころか、おめでとう!!と祝福してくれた。

きっと青子もわかってくれていたんだ。

3人で見る花火は、また別の幸せを感じた。


ーENDー


「おはよー青子!」

「おはよー名前!」

「おはよー愛しの黒羽君!!」

「おはよー愛しの……って無理!!俺さすがにそれは恥ずかしくて言えねーわ!」

「もー黒羽君ったらおちゃめさん!」

「るせー」

「そういえば、花火大会の日近くで事件あったらしいね!青子知らなかったー」

「そうだったのか?」


あ!そうだったそうだった!


「そのことなんだけどね、見て!新聞持ってきたの!!」


みんなに自慢しよーっと。

その場に新聞を広げて、大きな1面を指さすと、青子と黒羽君は顔を近づけた。


「毛利探偵……?」

「この毛利探偵を呆れた顔で見つめてるこの子!!私が一緒にりんご飴食べたって言う、息子!」

「げっ!!ボウズ?!」

「この子だったんだー!きっと毛利探偵と近くの事件現場に来てたんだね!」

「黒羽君、知ってるの?」

「い、いや知らねーけど……」


ぁあああ………と項垂れる黒羽君に、青子と2人で首を傾げた。



(っくしゅ!)
(あら、コナン君風邪?)
(なんか悪寒が……)




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